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ROULETTE 7



「こん「こんにちは!!ミニョ」」

シヌの言葉を遮ぎり元気よく部屋に入るカイル。


「あっあの・・・」
元来人見知りのミニョは、カイルの姿に緊張の面持ち。


「こら?大声出すなよ。ミニョがびっくりしてるだろう?ごめんね煩くして」
「いっいいえ・・・大丈夫です」
シヌがさっとミニョの傍に行くと、ミニョは小さく首を横に振った。


「ほらぁ?平気だっていってるじゃないか」

そういって後から入ってきたカイル。


「シヌさん、今日はいつもより早いんですね」
「うん・・・仕事が思ったより早く終わってね。そうだちょっと待ってて」
簡易テーブルをセッテイングしたシヌ。


次にミニョをベッドから抱きかかえると、キャスター付のソファに座らせ
テーブルの前へ連れてゆく。
恋人さながらのその行為を目の当たりにしたカイルが呆気にとられていることなど、
まるで気にしない。
もちろんミニョ本人は、あっという間の出来事だったので目をぱちくりさせているのだ。


そして奥の部屋へと入ったシヌは、数分後ワゴンを押しながら戻ってきた。

「あっ!!それは!!」
ミニョは驚きのあまり声をあげる。

「うん・・・まだあのカフェには連れて行って上げられないけど・・・気分だけでもね」
そういってシヌは、ミニョの目の前に限定スイーツセットを乗せた器を置き
次にテイーポットからお茶を注いだ。もちろんノン・カフェインある。


「わぁ・・・嬉しい。でもすごい人気だって書いてました。忙しいのにわざわざ買いに言って下さったんですか?」
申し訳なさげな表情でシヌを見るミニョ。
ミニョが喜ぶならこんなことなんでもないというのに・・・

もちろん実際今回は買えなかったわけだが。


「うん・・・買いに行ったんだけど・・・ギリギリ買えなくてね。そこにいるカイルに譲ってもらったんだよ」

「っもう!!わざわざネタばらししなくてもいいのに」
正直に話すシヌに、カイルは少々呆れ顔だ。


「ごめんなさい・・・私の為に・・・」
「いーよ。気にしないで。スイーツを譲る代わりにミニョに会いにこれたんだもん。シヌったらさーまるで宝物を隠すようだったんだよ。その代わりに1個だけちょうだい」
顔を曇らせるミニョに対して、明るくかわすカイル。
ちゃっかり自分も食べようとするのは、抜け目のないやつだ。


「もちろんです・・・・・・」

ほっとした様子のミニョは、オレンジキュラソーを強めに効かせたチョレートケーキを
カイルに譲る。
(アルコール強なら・・・懸命な選択だなミニョ)


「じゃあ・・・3人でおやつタイムだ」
元気よく声をあげたカイルは、大きな口をあけて早速ケーキをほお張る。


「ん~濃厚なチョコ味サイコー」

口の周りをチョコだらけにして満足げである。

「全く・・・子供じゃないんだから・・・あっほらミニョも食べて?」
ふと見ると、ミニョは二つのケーキをじっと眺めているのだ。

「あの・・・シヌさんも1つ好きなほうを・・・」
3個のスイーツだから気を使ったようである

「折角だけど・・・俺甘いものはあまり食べないから・・・気にしないでミニョが食べて?」
「そう!なんですか?実はどっちも食べたいケーキだったので悩んでました」
シヌの言葉にミニョの表情はぱぁっと明るくなる。

そしてカイルに負けず劣らずで、口の周りをクリームだらけにしてしまうのだ。

「ほら?食いしん坊お姫様?ついてるよ」
そういってミニョの口元を指で拭ったシヌは、そのままパクリ。

「シ、シヌさん!!何ですか?」
「ん?限定スイーツ俺にもおすそ分けだね」
慌てて口元を押さえるミニョに、表向きは冷静なシヌ。
ミニョの唇に触れるのは、偽の恋人の馴れ初め話をしたあの公園以来だ。


(俺のシナリオを一生懸命に覚えようとした姿が、逆に苦しかったっけ)
ミナムとしていたミニョとの日々・・・折りにつけ思い出すのかもしれない。

「もう!シヌさんたら!!意地悪です」
「え?ひどいなぁ意地悪したつもりなんて無いのに。ごめんねクリーム俺が食べちゃったから怒ってる?」
俯いたままのミニョに対して、席を立って覗き込むシヌ。


「ちっ違います・・・も・・・知らない」
ミナム時代とは違い、自分に対して女の子の反応を見せてくれることが嬉しくて
ついからかってしまったけど、これ以上は嫌われてしまう。

何とか機嫌を直してと考えていたそのときだった


『rrrr』

ポケットの中の電話が震える。

「ごめんね・・・すぐ終わるから」
一言ミニョに断りを入れると、奥の部屋へと行くシヌ。

“え?今からですか・・・?”
“どうしても・・・”
“はい・・・わかりました・・・戻ります”
相手が電話を切ったのを確認すると、やや乱暴に通話ボタンを切るシヌを見て
カイルが心配そうに尋ねてきたので、訳を話す。


「ああ・・・俺のシーンをこれから撮りなおすんだって」
シヌと絡んだ初回のゲストの新人女優から、自分の映りが気に入らないとクレームがついたため。

「全く・・・自意識過剰だって言うんだよ。誰もあいつなんて気にしていないのに。それよりあの棒演技を何とかして欲しいよ」
シヌの話にカイルは理不尽だと憤慨する。

「ありがとう・・ちょっとはスッキリしたよ」
苦笑するシヌ。

その後ミニョの傍に行くと、目線を合わせるために腰を落とすと。
急な仕事で戻らなければならないことを話した

「え?あっそう・・・なんですか?」
明らかに落胆した様子のミニョを見て、不謹慎だけどどこかで喜びを覚えるシヌ。

椅子から抱き上げて再びベッドに寝かせると、ふわりとブランケットをかけてやる。

「ごめん・・・ミニョとゆっくる話せるって思ったのに残念・・・」

離れがたいのはシヌのほうだ。
こんなときに優先しなければならない仕事。
もちろんこの仕事を選んで無ければ、ミニョとの再開も無かったわけで


「また来るからね。カイル行くぞ」
カイルの取り直しは無いが、当然シヌと一緒に戻るはず。

だが、予想外の言葉が彼から返ってくる。

「オレ・・・もう少しここにいたいんだけど。ね?ミニョ良いでしょ?やっとこの部屋に来たんだからもう少しおしゃべりしよう?ダメぇ?」

「えっダメとかそんな」

屈託の無いカイルの笑顔を見せられたミニョが、断れるはずも無く。


「ということだから・・・シヌは心配しないで仕事がんばってきてください」

ぐいぐいとカイルに背中を押されてしまう。

「全く・・・仕方がないな・・・ミニョを疲れさせるようなことはするなよ」
「はーい。りょーかい」
真面目に聞いてるのか分からないカイルの返事。

だが・・・漠然とカイルなら安心だという思いもどこかにあったのかもしれない。

===========================================

ミニョちゃんとの新しい関係は中々良好なシヌです。
男として意識をしてくれるのは嬉しいですよね?
ずっとスルーされまくりでしたから・・・

病室で過ごすミニョちゃんは、グルメ雑誌のスイーツ特集をみて
いつか食べたいと思っていたのでしょうね。

そんなささやかなミニョちゃんの願いをかなえるために、カイル君にも頭を下げることをいとわないシヌ。
ミニョちゃんの笑顔のためなら、造作も無いことです。

もちろん甘党のカイル君、すんなりというわけには行きませんが・・・
シヌのミニョちゃんへの思いを聞かされていたから、承諾するしかありません。

甘いケーキを食べるミニョちゃんとちょっぴり甘いひと時を過ごすシヌ。
(お邪魔虫のカイル君はこの際眼中にいれず・・・汗)

だけど、急な撮影のため戻る羽目に。
後ろ髪を惹かれる重いでしょうね。

ミニョちゃんと二人きりになったカイル君。
深い事情を知らないですが、シヌの思いを知っているので・・・何がアクションを起こすでしょうか

例によってこれから考えます・・・自爆


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