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ROULETTE 34


それからはシヌを他所にジェルミと二人で大いに盛り上がる。


結構騒いだせいか、ソファにもたれかかって少し転寝をしたらしい。


 


すぐに目が覚めたが、シヌとジェルミの話し声が聞こえてきてなんとなく起きるタイミングを逸してしまう。


 


「あ~あ、ソファ3人分を占領して寝ちゃったよ。もう子供みたいな寝顔だね?」


「お前がいうか?」


くすくす笑うジェルミに対してのシヌの言葉。


 


(ホント…シヌのいう通りだよ)


自分も揶揄してやろうと思ったカイルだが、二人の会話が韓国語になったことで
その話の内容が気になってしまった。


 


考えてみれば、カイルがいる前ではシヌとの会話も英語のジェルミ。


先刻の内輪ネタでも同様であった。


本気で蚊帳の外にしたければこっちのわからない言葉で話せば済むのに、


そんなことはしない。いろんな意味でまっすぐなやつなのだと思う。



 


「そうだ…ジェルミ?テギョンが見に行く舞台ってどこなんだ?」


「うん…LAのデイリー劇場だって、あと今回前後で休みたいって社長にお願いしたらしいよ」


「そうか…それならミニョに会う時間があるんじゃないか?テギョンだって心配しているだろうし」


「それはダメ!!ミナムに止められているんだから。それにさっきも言ったけど記憶喪失のことを知ったらテギョンヒョンは無理やりでも記憶を取り戻そうとするかもしれないよ…それってミニョにとってはすごく負担になるんでしょ?オレだってミニョが笑顔でいてくれることが一番なんだもん。今のミニョはオレの知ってる限り一番幸せそうに見えるからね」



 


  やがて二人の話し声が聞こえなくなってしばらくすると、カイルは掛けられたブランケットを抱えてゆっくりと起き上がる。


そして静かにベッドに向かうと、規則正しい二人の寝息が聞こえてきたので完全に眠りについたのだろう



いつかのような無邪気な寝顔のジェルミを見つめながら、深いため息を漏らす



  


「やばいよ…自力で病院をしらべたのか?あんな広い中から」


つぶやくと、日中見かけたテギョンの姿を思い出した。


一瞬でも強烈すぎる存在感。


 


ミニョの元カレなのにミナムがそこまで拒む理由はわからないが、会せないほうがよいというのはカイルも同感である。


ミニョの病室は別棟で、セキュリティも厳しいから部外者は勝手に入ることはできない筈だが、妙に気になる。


病院に確認を取りたいが、緊急でもないのに顰蹙だろう?


 


それでもこのままだと眠れそうにもないので、気分転換にテラスへと向かうと


思いがけない人物に出くわしたのだった。


 


「アンニョンハセヨ、キミも眠れなくてここへ」


「え?ああ…それより…話せたの?…」


いつかのミニョと同じ反応をするのは、さすがの双子と想うべきか。


カミングアウトしたカイルは周りへ伏せるように頼む。


 


「良いけど?別に隠すことないのに」


ここは妹とは違い怪訝な表情をうかべるので早々に話題を変えてみる。


病院で見かけたミニョの元カレ?のことだ


 


「なっそれ本当!」


「うん…あの悪いけどちょっと声のボリュームさげてね」


大声を上げそうなミナムに、そっと人差し指を向けるカイル。


 


「ごめん…でもどうしてわかったのかな?まさかジェルミが?」


自問自答を繰り返すうちに出た名前。


だが、ここはジェルミの名誉を守るために、はっきりと比定しなければならないだろう。


先刻聞こえてきたシヌとジェルミの会話の内容を伝えると、ミナムは少し苦笑いをする。


 


「そうだよな…うっかり疑うところだっよ。」


「あいつ見かけによらず、しっかりしてる。あとミニョのこともすごく心配してたよ。
 同じグループのメンバーの身内って特別なんだね?」


「まぁ…ね」


「オレ、目力の半端ないvocalのことは知らないからだろうけど、ミニョはシヌのそばにいるの
 が似合ってると思うんだ」


ANJELLのメンバーと深くかかわるミニョの存在の大きさに何か秘密が有るような気がしたが、知り合って間もない自分には教えてもらえないだろうということもわかっている。


ミニョが事故にあった直後から、シヌとともにそばにいる機会が多かったカイルならではの率直な思いを告げた。


 


さらにミニョの兄として、ミニョへの面会者を厳しくチェックすることを


病院に働きかけることを進めた。


この時のカイルは、自らが発信したシヌがミニョの婚約者であるということを


あろうことか、すっかり忘れていたのである。


 


そして、この日



秘密厳守のはずの別棟の特別室に

ミニョがいる事実をテギョンが掴んだことなど


 


全く予想はできなかったのだった。


 


===================================


久しぶりの兄妹の水入らずの夜です。


美男本編では、兄妹でも同室は好ましくないとジェルミが言ってましたが


ここはお見逃しくださいませ。


ミナムはミニョちゃんからでるフィアンセのワードに、内心は焦ってます。


あえて教えないのは、ミニョちゃんのため。


 


一方顔を会すとケンカのジェルミとカイル君。


だけど、お互いを認め合っていることを知って関係改善ですね?


 


シヌとジェルミの話を耳にしたカイル君。


テギョンさんの名が出て、耳がダンボ状態です。


病院で見かけたばっかりだったので…


その後出くわしたミナムに、病院へのけん制を勧めるのですが


一足遅かったようです。


 


次回からついにテギョンさんが、本気モードで動きます。


彼のパワーをどうやって抑えるのか、至難の業になりそうですね。 

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