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ROULETTE 5


ミナムとの通話を終えたミニョは、早速教えてもらった動画のページを開いてみる。

そこには、スポットライトを浴びているミナムの姿。

(オッパ・・・オッパ・・・良かったね)
ミニョにとっては始めてみるミナムの姿。
だが・・その歌を聞くと自然に口ずさんでいる自分に気付く。


(この歌・・・私知ってる・・・?)
不思議な感覚だが、確かにそうなのだ。
動画を食い入るように見ながら、次にミニョの目に止ったのは

(カン・シヌさん?)
ギターを弾きながらステージを駆け回るその姿は、ついさっきこの場にいたシヌとはまるで別人の姿。

更に他のメンバーの姿も凝視する。
漆黒の髪のボーカルは、なんだか怖そうなイメージ。
だが金髪のドラマーは終始笑顔で、楽しそう。


(私・・・どうして覚えてないんだろう)
もどかしさを覚えながら、次々に動画を開くミニョ。


あっという間に数時間が過ぎてしまうほど。


「あらあら?ほどほどにしないと疲れるわよ」
夕食を運んできた看護士に諌められて、ようやく閉じた。

言われてみると、目が痛い
それにバッテリーもずいぶん減っているようだ。

充電しないといけないだろうが、肝心の充電器がみあたらない。
食事を済ませ薬を服用したミニョは、音楽プレイヤーを起動させる。
グループがこれまで発売した曲をとにかく聞き続けたのだ。


そこでミニョが注目したのは、ミナムのソロ曲。

【言葉もなく】
歌が始まってすぐ、切ないメロディーに何故だか胸がしめつめられて涙が止まらない。

(どうしよう・・・苦しいよ)
泣き続けるミニョは、部屋をノックする音にも気付かない程だった。


「!!どうした?気分が悪いのか?」

「え?先生」
切羽詰ったその声に反応して顔を上げると、心配そうにミニョを見つめる白衣の人物。

一瞬新しいドクターだと思ったが、白衣を脱ぎメガネを外すと現れたのはシヌ。
ナースコールをすると言う彼を慌てて制した。


「平気です・・・」

「だけど・・・そんなに泣くほど辛いんだろう?」
どうやら具合が悪くと誤解されているようだ。


「あの・・・違います・・・ミナムオッパの歌を聴いていたら・・・その」

「ああ・・そう・・だったのか」
ミニョが握り締めているスマートホンから流れているミナムの曲に気付くと、一瞬シヌが顔を歪めたに見えたのは気のせいだろうか。


「おか・・・しいんです・・・私・・・涙が・・・止まってくれなくて・・・大好きなオッパのソロ曲なのに聞いていると苦しくて仕方がなくて・・・どうしたら?」
途切れ途切れに言葉を繋ごうとしたミニョだったが、不意に暖かい温もりにつつまれてします。

「止める必要ないよ・・・好きなだけ泣いていいから・・・」
掠れ気味の優しい声のシヌ。

シャツにシミが出来るとか、そんなことを考えもしないで
シヌの言葉に甘えてしまうミニョ。
温かい腕の中は、心地よかった。


「ごめんなさい・・・迷惑をかけて」
ようやくミニョが泣き止んだとき、シミが出来るどころかぐっしょりと濡れたシャツ。

「気にしなくて良いからね。俺の胸でよかったらいつでも貸すから」
どこまでも優しいシヌ。
記憶が無いミニョに対して何故これほどまでに気にかけてくれるのか?


「あの・・・」

「ん?何?」
ミニョの言葉にすぐ反応してくれるシヌ。

(ミナムオッパの妹だから・・・だよね?)
改めて確認することも無い。だけど言いかけたからには何か話題を・・・
そう思ったミニョからでたのは

「シヌさんのギター弾いてる姿見ました。ここで会うシヌさんとはイメージが違っていたんですけど・・・あの・・・カッコ良かったです。」

「ホント?ミニョにそういってもらってすごく嬉しい」
ちょっと照れた笑いのシヌ。

「あっ八重歯あるんですね?」
「えっ?見られたのか?俺の秘密だったのに・・・参ったな」
どうやら見てはいけないものだったらしい。

「ごめんなさい・・・何もみてません」
思わず俯いてしまうミニョ

「うそだよ・・・ミニョに秘密なんてないから」
耳元で囁くシヌ。

「もっもう驚かさないで下さい!!」
「ゴメンゴメン・・・悪かったよ」
頬をほんのり赤くしたミニョの抗議の言葉に、シヌは笑いながら謝罪。

こうしてひとしきりじゃれあいが続いた。

やがて気分が落ち着いてきたミニョから漏れる欠伸。
シヌに促されて床につくと程なく寝息を立てたのは、泣き疲れも大きな要因だったのかもしれない。



「ミニョ・・・あの曲を聞いて何か思い出したのか・・・俺は・・・」
完全に眠ってしまったミニョに対して、シヌが切なげに語りかけていたことなど知るはずも無かった

=============================================


ようやくミナムと話をすることが出来ました。
シヌは携帯を複数持っていると思われます。
ミニョちゃんに渡したのは、韓国にいるときに使っていたものということで。


言葉もなくは・・・かつてミニョちゃんテギョンさんを思って涙した曲です。
『俺が隠してやるよ・・・』
シヌにとっては辛い思い出ですね。


記憶が戻る切欠になるのでしょうか?
当初はもう少し短い話を想定してたのですが、例によって長くなってしまうかもしれません。


 

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