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ROULETTE 2




「ミニョ・・・ミニョ!!」



「何をやってる君・・・患者から離れなさい。急いでるんだ!!」
担架を揺するシヌに対し、救急隊員は厳しく諌める。

自分の行動を反省したシヌは、カイルに頭を冷やすと言っていったんその場を離れた。

残された3人は日頃冷静なシヌがこれほど動揺することを思えば、驚きを隠せない。


「誰だろう知り合いかな?」
「ただの知り合いじゃない無いだろう?どう見たってあれは・・」
「そうよ・・・きっと大切な・・・」
シヌにとって特別な存在には間違いないと誰もが思ったのである。


一方シヌの頭の中は、しばらくの間混乱が続いていた。
本来ならシヌとほぼ入れ違いで帰国していると思っていたミニョが自分の目の前に現れたのだ。
寄りによってあんな傷だらけで・・・
他人の空似だったらどれだけ良かったか・・・一瞬そんな考えが過ぎったほど。
だがあれは間違いなくミニョ。

逃げたのは自分なのに、ミニョに会うと否が応でも思い知らされる。
消したくても消せないこの思いを・・・

どれくらいそうしていたのか・・・

「シヌ・・・」
心配そうなカイルの声が頭上から降ってきた。
自分を探しに来たのだろう。

「悪い・・・」
腰を上げようとしたシヌに、カイルの言葉は続く

「あのさ・・・さっきの女の子だけど、緊急手術になるみたい。でっでもきっと大丈夫だよ!!」
必死で笑顔を作るカイル。
シヌはその明るさに救われる思いで 、ミニョの手術室の前へと急ぐのだった。

終わりを待つ間やけに長く感じられる時間。
長いすに腰掛けると、静かに目を閉じる。

「そういえば・・看護士にあの子の家族のこと聞かれたけど」
「え?あ・・・そうだな」
混乱していてすっかり忘れていたミナムへの連絡。

ここでの通話を躊躇しつつも、ミニョの近くから離れ難いシヌは携帯の通話ボタンを押した。
仕事中なら伝言を入れればよいから。

果たして・・・ミナムへは数回のコールで繋がる。

『あっシヌヒョン・・・久しぶり・・・だね・・・良かった元気そうで』
「ああ・・・悪いな。忙しくて中々連絡できなかったんだ・・それよりもミニョ・・・」
『え?ミニョ?ミニョに会ったのシヌヒョン!!どこで!!』

いいかけたシヌを遮ったミナムの声は、切羽詰っていた。
やはり・・・何か事情がありそうだと気付いたシヌは、ミナムに対して落ち着くように諭すと
今の状況説明を出来るだけ淡々とはじめた。

「・・・・ということで、まだ手術中だ。終わり次第すぐに連絡する」
『そう・・・わかった・・・シヌヒョンが傍にいてくれるなら安心だよ』
電話越しのミナムの大きな息遣い。事情が許せばすぐにでもこっちへ来たいだろうに。
だがミナムが今の仕事を選んでなければ、ミニョと出会えることもなかったのも事実だ。

通話を終えると、隣から感じるカイルの視線。
「撮影終わっていて良かったね・・・きっと心配で仕事にならなかっただろう?」
「・・・かもな・・・めったなことで動じない自身はあるけど」
そう・・・だがそれはミニョが絡まない限定なのだが。

それからしばらくすると、手術中のランプが消えた。

「ドクター!!」
思わず執刀医に駆け寄るシヌ。

「おや・・・君は」
不意に声を掛けられたシヌが不思議におもってその顔を確かめようとすると・・・

「あーー!!ニールセン教授」
先にその姿に気付いたカイルが思わず役名で呼んでしまう。
今回のドラマに特別ゲスト出演した人物だったのである。

マスクを外すと確かに・・・その人ジョセフ・ムーア教授だ。

「失礼しました・・・ところでミニョの容態は?」
深く頭を下げたシヌだが、逸る思いで尋ねる。

「大丈夫だ・・・軽い火傷と・・・足を骨折・・・あれだけの事故にしては不幸中の幸いだよ」
「火傷・・・ですか?それはあの・・・」
火傷と聞いて真っ先に過ぎった思い。
だが、その心配はドクターにお見通しだったらしい。痕は残らないから心配ないといわれた。

「あっそうですか?ありがとうございます」ただそれよりも少し心配なことがある」
安堵するシヌに水をさすようなドクターの話が続く。

「爆風の勢いで、頭を強く打ったようなんだ。CTでは異常は見られないが・・・しばらく注意して欲しい・・・まあ私が言うまでも無いだろうがね」
そういってシヌの肩に手をそっと置くと自分の部屋へと戻って行くのだった。

「良かった・・・」
小さく呟いたシヌは、再びミナムへ連絡。
さっきとは声のトーンが違ったのだろう・・・

『もしもし・・・良かった・・無事に終わって』
「ああ・・・まだ麻酔から醒めてないが…ところで聞きたいことがあるんだ。ミニョのことで」
シヌの言わんとしていることは、瞬時にミナムに理解できたのだろう。

『うん・・・実は』
シヌがこの国へ来てから間もなくして、ミニョから電話があったというのだ。
彼女が所属していた団体の幹部の一人が、運営資金の半分を持ち逃げしたらしい。
予想以上のショックを受けたミニョだが、責任感の強さから活動を全うしようと決心したようだ。

『だけどさ・・・ヒョンが・・・』
いい淀むミナムの言葉を聞いて、シヌに緊張が走った。
元々ミニョがこういう活動をすることに難色を示していたテギョン。

『本音は自分の傍にいて欲しいからだけど、ああいう性格じゃん』
当初予定していた帰国が遅れるということを知って、ミニョを責める言い方をしたのだと。

【世間知らずで事故ばかり起こす奴・・・こうなるのはある意味当然だな。とっとと帰って来い】
その言葉は信頼していたリーダーに裏切られて傷心のミニョに追い討ちを掛けてしまう。

【私達が行くのを待っていてくれる人たちがいるんだよ・・・それが終わるまでは帰らないってテギョンさんに伝えて】
涙ながらのミニョの言葉。
ミナムはそれ以上何も言えず、ただただ無事に帰ってくることを願っていたのだ。

『そんなことでその活動がようやく終わって、帰国するって言う連絡がきたのが3日前だったんだ』
帰国便の時間を聞き、空港へ迎えにいったのはテギョン。
ミニョに対しての発言を彼なりに反省したのだろう・・・仲直りをしたかったのかもしれない。

だが…飛行機が到着しても肝心のミニョは現れなかった。
1時間・・・2時間待っても・・・現れない。
乗り遅れの可能性を考え、乗客名簿を確認してもらったところ

コ・ミニョの名前は確かにあった。
それを知ったテギョンは、ミニョが敢えて自分を避けたと判断する。

【俺に会いたくなかっただろう・・・こんな嫌味な行動をする女だとは思わなかった!!】
そう吐き捨てると、不機嫌MAXの状態で仕事に向かってしまう。
そして宿舎へは戻ってこないという。


『もうさ・・・ジェルミはミニョが帰ってこないっていじけるし、参ってたんだよ』
ジェルミのことだミニョを迎えるパーティーの準備をはりきってやっていたのだろう。

「そうか・・・乗客名簿はともかく・・・この場所にいるのはミニョに間違いない」
はっきりと告げたシヌ。
ミニョが目覚めて話せる状態なら、事情を聞くつもりだったシヌ。

直ちに連絡すると伝えて通話を終えたのだった。

その後ミニョが眠る部屋へと静かに入ってゆくシヌのあとを、何故かカイルも着いてきたが好きにさせておくことにした。
いや・・・今はカイルの存在がシヌにはありがたいのかもしれない

ベッド下のスツールを2つ取り出すと、無言でカイルの前に置く。

「ありがとう・・・あのさ・・・聞いてもいいかな・・・この子はシヌの・・・」
「あ・・・ミニョは・・・俺と・・・」
カイルの問いに答えようとしたシヌだったが、不意に視線を感じてしまう。

(え・・・?)
その視線の先にいたのはミニョ。

「ミニョ・・・目が覚めたのか?」
慌ててスツールから降りて咄嗟にミニョの顔を覗き込むシヌ。

確かにしっかり目が開いている。

「良かった・・・気がついて」
思わず毛布から出ているミニョの手を両手でそっと掴んでしまう。

「あの・・・手」
「ごめんドクター呼ばないとな」
困惑気味のミニョに気付いたシヌは、すぐにナースコールを押した。

10分後ドクターがやってくると、シヌのほうをちらりと見ながら穏やかな表情でミニョに話しかける

「良かったですね・・・気がついて・・・」
「はい・・・あの私・・・どうして?ここに」
事故にあったからおそらく混乱しているに違いない。

そんなミニョにドクターは、状況を説明しつつ韓国語で質問を始めた。

「先ず初めに・・・あなたの名前は?」
「コ・ミニョです」
はっきりと答えたミニョに、シヌはほっと胸をなでおろす。

「次に家族構成です」
「はい・・両親は幼い頃他界しました。双子の兄がいます。」
質問に対してのミニョの受け答えはなんらおかしな点は無い。
だが・・・この次にミニョが発した言葉に耳を疑う

「そうですか?お兄さんと二人きり・・・苦労しましたね?そのお兄さんは今何処に?」
「それが・・・しばらく音沙汰無くて・・・歌手志望の兄だから武者修行にでも言ってるのかもしれません」
ミナムはミニョと3日前に話したといっていたのだ。
(それに・・・武者修行って?)

ミナムはシヌと同じトップアイドルA.N.JELLのメンバーである。
謙遜して答えたつもりなのか・・・

「ミニョ・・・何を言ってるんだ」
思わず声を上げてしまったシヌ。

だがミニョから返ってきたのは到底信じられない言葉だった。
「あの…すみません・・・どなたですか?・・・」

=========================================
事故のショックでミニョちゃんが・・・
頭を打ったことで懸念していたシヌですが、ドクターに対してはっきりと答えるミニョちゃんに安堵していたことでしょう。

だからこそ・・・ミニョちゃんからのwho are youに驚愕です。
ついに手を出してしまった、記憶喪失の話。ある意味最終兵器なのかもしれないのですが・・・

この続きは…どうなるか・・・相変わらずのノープランです。


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