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BITTER&SWEET  3


バス停に到着してしばらくすると、折り返しのバスがやってきたのでに乗り込む。
そして・・・携帯の電源を落としてしまった。


その夜・・・アパートに戻って再び電源を入れて彼に連絡をすると・・・
当然だけど、怒っていた。


『すっぽかすとはどういうつもりだ!!俺は明日からまた海外での仕事があるんだぞ!!』
『ごめんなさい。急に気分が悪くなって・・・連絡しようとしたら電源が切れてしまいました』
必死で説明した。


『分かった・・・無理するな・・・悪かったな怒鳴って。今度からは充電器もちあるけよ』
嘘ばかりの私の話を信じて、そして心配してくれる彼。


だけど・・・
私は知らなかった。
宿舎の近くにいた私の姿をジェルミが見かけてたいたことに・・・


自分はいつからこんな罪深い人間になってしまったのだろう。
彼のことが好きなはずなのに・・・
ミナムオッパの身代わりとして一緒に過ごしている時の方が、幸せだったような気がする。


彼は仕事に集中したいといって、私に連絡することは滅多にない。
少し前なら寂しくてしかたなかったけど、なんだか慣れてしまった。


そんなある日のこと、何気にTVをつけるとシヌヒョンが出てる。
私は、その姿に釘付けになった。
シヌヒョンのスペシャルドラマの撮影は終了したので、OA前のプロモーションでの出演らしい。


『いやぁ・・・バイクのシーン決まってますね』
『ありがとうございます。この話をいただいてから、練習しましたので』
賞賛の言葉にも、シヌヒョンは謙虚な姿勢を崩さない。
シヌヒョンが演じたのは、男子高校生の役。
眉目秀麗で、成績優秀だけど、ケンカも強い。
殆ど地で演じられるといわれて、ちょっと照れてた。
『そういえば、このドラマでは後ろに乗っているは男性ばかりでしたが、シヌさんがリアルで後ろに乗せたい女性はどんな人ですか』
『もちろん・・・大切な人です!!』


はっきりと言い切ったシヌヒョン。
(大切な人・・・か・・・それはきっとシヌヒョンの好きな人だよね)


ミニョにあんなに優しいシヌだから、恋人にはメチャメチャ優しいだろう。
そう思うと・・・無性に寂しく思ってしまう自分がいた。


数日後・・・ミナムオッパからの宿舎へのお誘いの電話。
この前のように、皆と楽しく過ごせると思って私は宿舎へと向かった。


チャイムを押したけど、返事がない。
きっと手が離せないのだろう・・・そうっと入ってびっくりさせようなんてちょっといたずら心。


リビングに近づくと、聞こえてきたのはミナムオッパの声。
あのミナムオッパが失恋?
ちょっと・・・ううん・・・かなりびっくりした。


だけど・・・その次に聞こえてきたシヌヒョンの話に私はその場で動けなくなった。
“当たって砕けたならいい・・・オレなんてその前に見事に自爆したからな”


(え・・・シヌヒョン・・・好きな人って・・・)
あのインタビューの内容は事実だったのか・・・
これまでそんなそぶり全く見せなかったのに、何故だが複雑な気持ちになる。


あのシヌが失恋するくらいだから、きっとものすごく綺麗な人なんだろう。


(聞いてみようかな)
そう思って、ドアノブに手を掛けて開けようとしたら
再びオッパの声。


“ホントミニョのやつ鈍すぎるよ・・俺なんてすぐに気付いたのにさ。シヌヒョンがミニョに夢中だって”


(え!?今なんて!?シヌヒョンが私を?)
あまりにも意外な話に頭の中が混乱して、その場に固まった。


「ミニョ・・どうしたの?入らないの?」
背後からの元気いっぱいのジェルミの声・・・


当然オッパとシヌヒョンにも聞こえていた。


私の姿を見て、目を見開くシヌヒョン。
急用だといって、慌てて出て行ってしまったんだ。
シヌヒョンらしからぬ態度に、オッパとジェルミも呆然としていたっけ・・・


『オッパ?さっきのシヌヒョンの話だけど』
『え?聞いてたんだろう?』
しばらく経ってオッパに聞いてみたら、そっけない返事。


『だって・・・知らなかったんだもん・・・シヌヒョンに何も言われないし』
『はぁ?・・・あれで気づかないなんて・・・態度でばればれだろう』
ちょっと反論したら、オッパに呆れられてしまった。


ジェルミにも聞いてみたら・・・当然だといって頷く。
知らないのは、私だけだったなんて。


そういえば、よくシヌヒョンに言われたっけ
『鈍い』って・・・


この前に見たTVのインタビュー。
“バイクの後ろに乗せるのは、大切な人”


シヌヒョンの気持ちに全然気付かなくて、ただ甘えていたひどい私。
そう思ったら、申し訳なくてシヌヒョンに合わす顔がないって思った。


そして・・・幸か不幸か・・・シヌヒョンとは現実にしばらく合えなくなってしまう。


突然の海外での取材の仕事。
シヌヒョンの姿は、ネットやTVでしか確認できない。
あんなことがなかったら、電話でおしゃべりできたかもしれないのに。


リポーターとして、流暢な英語を話すシヌヒョン。
かっこいいけど、遠い人に思えたんだ。


シヌヒョンは、いつだって甘えることが出来る存在だって根拠なく思っていた自分が情けない。
このまま気まずくなって、会うことも出来なくなったらって想像しただけでも辛くなる。
私の心の中は、シヌヒョンでいっぱいになっていた。


そんな私の気持ちの変化を、彼が気付かないはずはない。
帰国した彼と会っても上の空のことが多かったから・・・


このまま自分の気持ちをごまかすことは出来ないと、決心して彼と会った。


すぐに切り出そうとしたけど、彼に制される。


『話は、食べてからでも良いだろう?』
そういわれてぐっと言葉を飲み込んでしまった。
そして運ばれてきた料理は、私の好きなものばかり。


『いつも・・オレに合わせていただろう・・・今日は遠慮するな』
彼の表情は、これまで見たことがないくらい優しい。


(どうしよう…)
気持ちが全くなくなったわけじゃない。
このまま・・・なんて思いが少しだけ過ぎった


だけど・・・やっぱり・・・私の心は・・・別のところに向かっている。


そして・・・食べ終えた後・・
意を決して、話を始める。


「あの・・・私・・・・・他に好きな人が出来たんです・・・ごめんなさい」
ようやく出た言葉・・・頭を下げることしか出来ない。


二人の間に流れる沈黙。
いつかも同じようなことがあったけど、あの時とは状況がまるで違うんだ。


「シヌ・・・か」
「テギョンさん!!」
搾り出すような彼の声に、はっと顔を上げる。


「なんとなく気付いていたぞ・・・お前は最初からシヌの前では、自然で笑顔で・・・
だからこそオレを好きだといいてくれたこと嬉しかった。シヌよりオレを選んでくれたことで、満足してたんだろうな。
いざ付き合うことになったら、どう接していいかわからない。お前は相変わらず緊張しているし・・・そのくせシヌの前では以前と変わらない態度に腹が立った。お前に宿舎に来るなという大人気ないことも言ってしまったな。」
彼の言葉の一言一言が胸に突き刺さる。
そんな風に思わせてしまったのは、私にも原因があったんだ。
彼の前では、ありのままの私でいることが出来なかった。


「悪い・・・未練がましいな・・・オレとしたことが」
自嘲気味に笑う彼。


私の思いを受け入れた彼から一つの条件を提示された。


それは、私が振られた事にすること。
「仮にも皇帝と呼ばれた俺が振られるなんて、皆にちょっと言えないからな」


彼の言うことは尤もだ・・・
だけど・・・その言葉の裏に隠された真意に私は気付いていなかった。


数日後・・・ミナムオッパから電話が来た。
私とテギョンさんのことを知って、慰めてくれる。
本当のことを言えないのが心苦しかった私は、電話口で無言になってしまった。


そんな空気を呼んでくれたオッパは、話題を変えてくれた。


『シヌヒョン・・・明後日帰ってくるって』
『ホント?』
その言葉に自分でもびっくりするくらいの大きな声で反応してしまった。


宿舎に戻ってきたら、会いに行きたい。


だけど・・・・気持ちをどうやって伝えたら良いんだろう勇気が出ない。


そんな時、あるサイトで知ったエッグチョコの存在。
中にプレゼントを入れるみたい。


これなら・・・伝えられるかも知れないって思った。


それからは、チョコと格闘の日々。
エッグチョコレートは、想像以上に難しい。


100個以上作って成功したのは、僅か2個だけなんだ。


私の気持ちをこめた小さなカードを、チョコに入れて閉じようとして
はっとした。


(もし、気付かずに食べたら)
お腹を壊してしまうかもしれない。


大切な身体がそんなことになったら・・・


それなら、食べても大丈夫なように
クッキーを焼いて中に入れよう。


チョコは2個・・・2文字しかない。


좋아해요 は作る文字が多すぎて断念
LOVEも4文字だ。
他の国の言葉で探したけど、文字数が多い


落ち込みかけたとき、ふと日本語に気付いた。
カタカナ?


2文字・・・?


それに、私でもなんとか出来そうな形・・・


もちろん、たくさん作って一番うまく出来たものをチョイス。


それらをそっとチョコに入れ、縁に接着のチョコを塗ってもう半分をあわせて。


気がつけば、日付が変わっていた。


後は・・・ラッピング…だけど、少しだけ寝かせて?
======================================
ミニョちゃんサイドの話の続きです。
思いがけない状況でシヌの気持ちを知ってしまったミニョちゃん。
ニブチンを兄にも指摘されてしまいましたね。
その後シヌに会えなくなったミニョちゃんは、寂しさでいっぱいになります。
恋人であるはずのテギョンさんとは、同じ状況でも大丈夫だったというのに・・・


別れ話は実はミニョちゃんからでした。
テギョンさんの引き際は素晴らしかったと思います。


次回の完結目指して頑張ります。


 

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