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BITTER&SWEET 2


CHOCOLATEには、恋が叶う魔法の力があるのよ。
施設にいるとき、お姉さんが教えてくれたお話。


幼かった私には良くわからなかったけど…
口の中にポンと入れてくれた、甘い甘いチョコ。
とっても幸せな気持ちになったことだけは、覚えている。


思い出すのは、去年のバレンタインデー。


アレルギー体質の彼に食べてもらえるケーキを作るためにお菓子教室に通った。
不器用な自分が情けなかったけど、失敗を繰り返して何とか出来上がったケーキ。


教室のことミナムオッパには話してたけど、私を見るたびニヤニヤ笑う。
そして何故かシヌヒョンに耳打ち?


ミナムオッパはシヌヒョンと仲が良い。
身代わりをしていたときも思ったけど、もしシヌヒョンがいなかったら・・・
きっとこのグループから逃げ出していただろうし、テギョンさんの優しさに気付くこともなかった。


バレンタインデーはグループのイベントがあるみたい。
当然だよね?大人気アイドルだもん。


夜遅くなって悪いと思ったけど、宿舎に向かった。


途中で連絡を入れていたためなのか、宿舎の前に人影が見える。
 
『待っていてくれたんですか?』
『別に・・・曲作りで煮詰まったから、気分転換だ!!』
ぶっきらぼうなところは、会った頃と変わっていない。


『あ・・・あの・・・これ』
『なんだ・・・これ?』


勇気を振り絞って渡したのに、彼の第一声でちょっと落ち込む


『その・・・バレンタインデーなので』
『あー?くえんのか?俺がぶっ倒れるもの入ってないだろうな』
失礼な言葉だけど、以前彼の体質を知らずアレルゲンのものを用意したから言い返せない。
 
『安心してください。プロの先生に習ったんですからね』
今日は自信があった。


そんな私を見た彼は、箱を片手で抱えると宿舎の中へと戻ろうとする。


 
『あ・・あの待ってください』
『何だ?他のやつらにもやるんだろう?呼んでやる』
彼は、勘違いしているのだ。


『違います・・・ケーキは一つだけです!!』
この言葉でようやく気付いてくれたみたい


『それって・・・お前・・俺の事を?』
心底驚いたような反応をする彼。


その後二人の間に流れる沈黙。
やっぱりダメなのかな?絶望的な気持ちになって思わず俯いてしまう。


『おい・・・ミニョ』
不意に名前を呼ばれて顔をあげると、そっと唇が重なった。


『これが返事だ・・・分かったな?』
甘い言葉はなかったけど、真っ赤な顔をしている彼をみたらなんだか可愛かったんだ。


こうして私達の恋は、始まった。


だけど・・・
今思えば、あの瞬間が―
私達にとって一番幸せなときだったのかもしれない。


 
次の日ミナムオッパに伝えたら、ひどく意外な反応をする。
そんなに驚くことなのかな?


シヌヒョンは、いつもの優しい声で“そうか、良かったな”って言ってくれた。
 
ジェルミからはチョコを催促されたけど、用意してないって言ったらすごくがっかりしてたっけ。


人気者だし、昨日たくさん貰ったのに
“大好きなミニョだから、欲しいんだよー!!”
ジェルミは大好きという言葉を良く使う。


うん・・私も大好きな友達・・・ずうっとね
 


告白後の初デートは、彼が予約してくれた高級レストラン。


ただでさえ慣れない場所に加えて、目の前には彼。
テーブルマナーの失敗をしないようにって気合を入れすぎたせいかな?
ナイフを落とし、グラスを倒したりと散々だった。


“事故多発地帯は相変わらずか”
彼が笑いながらも、少しため息をついた気がした。


次のデートのときは、失敗をしなかったけど
それに捕らわれすぎたのか、会話が進まない。車の中でも少し気まずかった。


所謂恋バナを相談できる友達は私にはいない。
二人のことは、グループ内と室長、そしてオンニだけ。
 
ある日のことだった。
彼の不在のときオッパに呼ばれて宿舎に遊びに行くと、サンドイッチパーティだという。


だけど実際に作っていたのは、殆どシヌヒョンみたい。
そして私のフルーツサンドがたくさんあったのは、本当に嬉しかった。
シヌヒョンに話したことあったかな?


そのときは深く考えることはなかったけど・・・


ジェルミもいて楽しい時間。


デビュー当時の秘蔵映像をまた見せてくれた。


ミナムオッパは、初めてらしく興味津々。
シヌヒョンはさすがに苦笑いしかしなかったけど・・・


そんな楽しい時間は、予定よりの早い彼の帰宅によって終わりを告げてしまう。


私が宿舎に来るのを彼は好まないようだ。


仕事に厳しい彼だから、集中できないかもしれない。
落ち込む私に、ミナムオッパの言葉は救世主の声にも聞こえた


“気にするなよ。ミニョは俺の妹なんだ!!兄貴に会いにくるのに誰にも文句は言わせない!!”
その言葉に甘えて、私は頻繁に宿舎に行った。


当然彼は不機嫌だったけど、ミナムオッパの言葉でしぶしぶ許してくれる。


だけど、疲れたといってすぐに自室にこもってしまう。
皆と楽しく過ごしたい私の思いは、我儘なのだろうか…
 


考えてみれば、彼と共通の話題を探すのは用意じゃなかった。
世界的に有名な指揮者の一人息子として生まれた彼。


私とは、あまりにも違うことを思い知らせるようになる。
それでも、この恋を失いたくなってどこかに必死だったかもしれない。


そんな日々の中、彼からの電話があった。


オフだから、宿舎に来るようにと。


誘っていてくれたことが嬉しくて、即答する。


これで・・・ここ最近の気まずさを解消できるって・・・信じてたから。


当日バス停から宿舎に向かって歩いていると、見知らぬバイクが傍でとまる。


誰?って警戒したら、なんとシヌヒョン。


ロケでバイクのシーンがあったみたい。
その時使用したバイクがこのバイク。
すごく気に入って、撮影後は格安で譲ってもらえると笑っている。


その笑顔は少年のようで、私が知っているシヌヒョンとは少し違って見えた。


『宿舎へ行くんだろう?送ってやる。乗ってけ』
『いえ・・・大丈夫です』
仕事へ向かう途中のシヌヒョンに申し訳ないと固辞したら
 
『そんな遠慮はするな・・オレ達の仲だろ?』
ミナムオッパの代わりをしていたときによく言われた言葉。


妙に懐かしい気持ちになって、気がついたら後ろに乗っていた。
 


『しっかり捕まっていろよ。落ちるからな』
シヌヒョンの言葉に、私はちょっとびっくりで・・・とっさに腕を回していた。


不思議と安心できるシヌヒョンの背中。


だけど、この日は何故だかドキドキした。


きっと…落ちないようにってしがみついていたからだと思う。


 
シヌヒョンは宿舎のまん前ではなく、少し手前で下ろしてくれた。
それは、きっと彼への配慮だと思う。
何も言わなくても、昔からシヌヒョンは気付いてくれるんだ。
 


『じゃあな?』
そういって走り去るシヌヒョンの後姿から、何故だか目が放せない。
 


その後自分で信じられない行動をとってしまった


宿舎に行かずに


足は・・・再びバス停へと向かっていたのだから。


===================================


ミニョちゃんの気持ちがテギョンさんからシヌへと移り行くため、
説明の部分が長いです。


思いが通じ合っても、育ってきた環境が違うから~(BYセロリ)の二人。
中々うまく行きません。
そうしてすきま風と供にミニョちゃんの心にシヌが入り込みます。


もう少し続けても良いでしょうか?

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