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ROULETTE 24

それから1ヶ月が過ぎた


ドラマは予想以上に好評を博し、どうやらシーズン2の噂も出ているらしい。


当然シヌにも引き続きオファーがあることを社長へと早速相談した


 


『…そう…そうか…良かったな!!』


久しぶりに聞いた電話の向こうの社長の声は、普段よりもトーンが落ちているように感じたのは気のせいだろうか?


 


「ただその場合、グループへの復帰が遅れるかもしれません」


シヌにとっては最大の懸念事項なのである。


 


『お前がそのつもりなら、ノープロブレムだ。こっちはなんとかなるんだからな


それにそっちでより評価が上がれば、今度は単独主演も夢じゃない。結果的にはわが社としてもBIGNAMEが手に入るんだ


電話の向こうのハイテンションで話すアン社長に苦笑しながらも、通話を終えたシヌ


 


演技の世界に思った以上にのめりこんでいる自分に驚く。


TOP俳優のアレクの演技は、大いに刺激になる。


 


何よりも、熱心なファンと公言するミニョ。


たとえ縁者としてだけのシヌでも、全く素通りされていたあの頃を思えば幸せである。


もちろんカン・シヌ個人へ目を向けてくれることが、何よりだが。


 


「贅沢な願いだな」


自嘲気味に呟くシヌの声は、例によってにぎやかな訪問者遮られた。


 


「シヌ居る?」


すでにどっちが自分の部屋かわからないくらいに、我が物顔でこの部屋を訪れるカイルである。なんだかんが言いつつこの状況をシヌも楽しんでいるのだ。


 


「あのさーリタからの提案なんだけど…」


カイルによると、4人全員そろうロケのオフがあるという。


その日を使ってホームパーティを希望しているのだ。


 


「でねっ?ミニョも来てほしいなって。出るよね?1日くらいなら外出許可も


「ああ…けど…ゲストが多いなら、ミニョが疲れないかな?


外出することは気分転換には良いだろうが、人見知りのミニョの事を気にしてしまうのだ。


 


「ああっそれなら、問題ない。オレ4達とミニョだけだから」


「え?オレ達だけって本当か?」


自信たっぷりに応えるカイルに、シヌは思わず聞き返してしまう。


 


「うん…本音は単にミニョを自宅に招待したいんだよ。ガールズトークっていうやつ?してみたいんだって…でもミニョのことだから遠慮するかもしれないだろう?


それなら、オレ達も一緒ってことで…はっきり言って男達はオマケってわけーそれなのに話しを付けろってお達しがあって。しかもシヌに直接言わずにオレを仲介させてさー酷くない?うううっ」


泣き真似はやや大げさと思いつつもリタに強く言われたのは、間違いないだろう。


 


「分かった…撮影の前にちょっと寄ってみる」


「そう?頑張ってね」


てっきり着いて来るかと思ったが、違ったようだ


 


病棟へ向かい、挨拶をしてからミニョの病室へ向かった。


ノックをすると、少し慌てたミニョの声と何かを片付ける音


 


「あっシヌオッパ!お早うございます。」


「ごめんね?食事中だったんだろう?気にしないで食べて」


サイドテーブルの上のトレイには、まだ食べ終えてない食器が見える。


 


「いえ…もうお腹いっぱいなので」


「ダメだよ…しっかり食べないと…そうだ終わったらお茶入れてあげるから」


気を使うであろうミニョを優しく諭すと、残りの食材に口を付け始めた。


最も、残っていたのは僅かだからあっというまに完食できたのだが。


 


そして…


「シヌオッパ…終わりましたよ!!」


「ん…良い子だ」


得意げなミニョを見て、思わず手が頭に伸びてしまう。


フワフワとしたミニョの髪の感触は相変わらずだった。


 


「え?」


「ごめん…つい」


頭を撫でられたミニョは、戸惑ったのかもしれない。


実際再会してからこの行為をするのは、初めてなのだ。


ミナム時代は、数え切れないほどだったが…


 


「シヌオッパ…」


「あっ!!そうだ…実は、ミニョにお願いしたいことがあったんだけど」


誤魔化すように話題を変えたシヌは、早朝の訪問目的を話し始める。


 


「お誘いは嬉しいですが…私なんかが行けば迷惑がかかりますから」


「そんなことないよ。心配しないで」


予想通り固辞をしようとするミニョ。


リタの話をしても、首を縦には振らないのだ。


控えめな性格に加えて、生来の頑固さも併せ持っているので一筋縄ではいかない。


 


(なかなか手ごわいお姫様だな)


どうやって説得しようかと考えあぐねていたときだった。


 


「あ~あ…もう何やってるんだよ」


ノックと同時に入ってきたのは、カイル。


 


「え?お前用があったんじゃないのか?」


「ないよ。一応気を利かせて時間差にしたんだからね!!でもちょっと気になって早めに来たんだもん。そしたら…もう…オレが説得するから」


「え?カイルがどうやって?」


彼が韓国語を流暢に話せることを知らないので、戸惑いは隠せない。


 


「良いから任せてよ要はハートなんだから」


そういって、強引に食器を片付けに行くように指示されてしまう。


 


果たして…結果は


10分後シヌが病室へと戻ってくると、カイルが大きな丸のジェスチャーをする。


 


「え?本当にか?どうやって?」


「んとね…『オネガイシマス』と『コノトオリ』を連呼した」


ペロッと舌を出すカイル。


 


「全く…それは説得って言わないだろう?」


「良いじゃない?結果オーライだし。じゃオレ先に行くよ。リタに教えてあげなくっちゃね!!」


カイルは弾んだ声で、病室を後にしたのであった。


 


「あの…本当に私なんかが行って…良いのですか?」


「もちろんだよ。オレがずっと傍についているから心配しないで」


尚も不安げにこちらを見つめるミニョを優しく見つめるシヌ。


 


その潤んだ瞳に吸い寄せられるように、ゆっくりと顔を近づけてゆくのだが


 


 


「あっ…忘れてた!!お茶いれないとね」


ぱっと身体を反転させると、湯沸しポットのスイッチを入れて用意をし始めるシヌ。


ミニョの僅かだが落胆している表情を、気付くことは無かったのだった。


 


「リハビリの方は、順調かい?」


「はい…何とか…頑張ってます」


やっぱり気になるのが、この話題だ。


ミニョのリハビリに立ち会えたのは、一度だけなのである。


自分の目で確かめたいと思うが、タイミングが合わない。


 


(パーティー…本当に大丈夫なのか)


ミニョに関してはのシヌは、過保護なくらい心配が募るのである。


 


一方…


 


一足早く病室を出たカイルはロケ現場でリタを見つけると、


開口一番ミニョの返事を伝えた。


 


「へぇ…やるじゃないメッセンジャーBOY。思ったより使えるのね?」


「もうっもっと他に言い方あるだろう」


素直に感謝の言葉を言わないのは、リタらしい。


 


「全く…さっきまでそわそわしてたくせに…良かったな」


「なっ何よ…全然心配なんかしてなかったわよ」


恋人のアレクには、案の定筒抜けである。


顔を赤くして否定しても、余り意味はない。


 


(こっちの二人は、問題ないね)


相変わらずの仲の良いところを、カイルは楽しそうにみつめていた。


 


 


しばらくしてシヌもロケ場所に現れると、アレクは真っ先に駆け寄った。


 


「ありがとな…リタの頼みを聞いてもらってさ…」


「いや…オレは何もしてない。結局のところミニョにYESと言わせたのは、カイルなんだ」


改まって礼を言われてしまい、シヌはとっさに否定する。


 


「ああ…そんなこと黙っていればいいのに…本当に正直だねシヌは」


 


少しだけきまりの悪い顔をしたカイルだが、なぜか大きく息を吸うと


 


「今日も1日ふぁいてぃーん」



と、一際大きな声をあげたのであった。

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シヌとミニョちゃんの穏やかなひと時です。



ミニョちゃんをパーティに呼びたいリタさん。



あれ?言葉の壁はと思われるかもしれませんが?そこは何とかなるでしょう。



優しいけど押しが弱いシヌのことをお見通しだったカイル君。



見事ミニョちゃんを口説き落としました。



今回の記憶喪失編ですが、これまであえて封印してきた頭ナデナデがやっと出てきました。



いやあ長かったです。

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