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ROULETTE 28


リタ主催のパーティが近日に迫ったある日。


 


パーティのことで話があると言い出したシヌに、リタの表情は変わった。


 


「ちょっと何よ?まさかミニョが来れないなんていわないでしょうね」


「いや…そうじゃなくて…」


彼女の余りの剣幕に、シヌは怯みながらも続けた


 


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


それは、早朝のジェルミからの電話に遡る。


『シヌヒョン!オレとミナムまたロケでそっちに行くんだよ。でね、なあんと


オフの日がパーティの日と同じなんだ。すっごい偶然だよね?』


見え見えのことを平然と言ってのけるジェルミにシヌは、苦笑しかない。


偶然も何も、パーティーの日程を根掘り葉掘り聞いていたのは他ならぬジェルミだ。


 


『わかった…2名の飛び入り参加が出来るか聞いてみてやるから』


『ええ…いいの?シヌヒョン大好き!!じゃあ連絡待ってるよ』


言いたいことだけ言って、その通話はすぐに終わってしまったのだった。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


だが、相手はリタである。


承諾してもらえるかどうかが不安であった。


だが、それはシヌの徒労で終わることになる。


 


「そう別にいいわよ…ミニョの双子なら会ってみたいし…もう一人の子もシヌのバンド仲間なら問題ないわ」


「ありがとう!!」


以前のリタだったからわからないが、ミニョと知り合ってからは確実に変わった気がした。


 


その場でジェルミに連絡を入れると、テンションMAXのジェルミの声が聞こえてきた。


するとなぜか携帯をスット引き抜かれる。


 


「おい、カイル?」


シヌが止める間もなく、勝手に話をしているのだ。



  



Hello! Do you know who I am?



いきなり相手が変わってジェルミは少し困惑していたが、すぐにカイルの声に気付いたようだ。



「すごい!良くわかったねキミは天才だ。それにしてもラッキーだよね?本当はお呼びじゃなかったのにミニョの兄さんのコネがあってさ。じゃあねー!!」



言いたいことが終わったのか再びシヌに戻った電話の向こうからは、ジェルミの怒りの声が響き渡った。



 


『シヌヒョーン!!あいつ生意気だよー!!オレを馬鹿にしたんだからー』


「わかった。興奮するな」


ジェルミを宥めるのを、みてカイルはクスクス笑っている。


 


「カイル、ジェルミを挑発するなよ」


「だってぇーからかうとムキになって楽しいんだもん。子供みたいでさ」


シヌの苦言もどこ吹く風のカイル。


もっともシヌから見れば、二人は良く似ていると思うのだが。


 


その日の撮影は、思ったよりも長引いてしまう。


終わった足でミニョの病室へ向かうが、生憎既に夢の中。


それでも穏やかな寝顔に、シヌはほっとするのだ。


 


見つめすぎていたせいなのか?ミニョがぱちりと目を開けてしまう。


 


「シヌオッパ?」


「ごめん…起こしちゃったね?だめだよそのまま」


起き上がろうとするミニョを、そっとベッドに戻すシヌ。


 


「だいじょう…ぶです…すこしくらい…せっかくシヌオッパがきてくれているのに」


「だめだよ?パーティの前に体調崩したら、外泊許可下りないだろう?おとなしく言うことを聞いて?」


不満げなミニョを宥めると、そっと瞼に指を乗せる。


 


「魔法をかけてあげるよ?こうして3回ゆっくりと触れるとまたすぐに眠くなるから」


とっさに言ってしまった、結構恥ずかしい言葉。


ミニョと再会してからは、自分でも驚くくらいの甘い言葉が出てしまうのだ。


 


だが程なくミニョから静かな寝息が聞こえてきたところをみると、効果はあったようだ。


覚醒しきってなかったので、そのまま眠りに付いたのだろう。


 


「朝までゆっくりおやすみ…眠り姫」


額の髪をかきあげると、額にそっと唇を寄せる。


その後はゆっくりと、病室を出て行ったのであった。


 


アパートに着いたそのタイミングで、ミナムからの着信。


『ごめん…ジェルミの奴無理言ったんだろう?オレがうっかりパーティの件を話してしまったから』


「気にするな…ミニョも喜ぶよ。会うの久しぶりだろう?まだ言ってないんだけどね」


一瞬目を開けたときに伝えたら、そのまま興奮して眠れないだろうと思い敢えて言わなかったシヌ。


だが、その判断はミナムにとって好都合だったという。


 


『だって…仕事でのスケジュールの変更なんて良くあることだろう?がっかりさせたくないんだ』


ミニョの心情を慮る発言に、シヌも納得する。


 


「そうか…まあミニョへのとびっきりのサプライズにするのも、良いかもな」


『うん…だから、当日まで内緒にしておいてよね…』


互いにミニョの反応を楽しんでいたのだが、いきなりミナムが真面目な口調に変わった。


 


『本当シヌヒョンにはミニョンことで世話になりっぱなしで…ごめん…これからもお願いします』


改めてそういわれるのは、おそらくシヌがミニョにとって兄の同僚に過ぎないからだと分かっている。


 


もし…恋人だったなら…


その時、ふと自分でも気づかぬうちに口に出でしまう。


 


「ところで、テギョンはどうしてる?」


『え?ああ…相変わらず仕事ばっかりだよ…海外も多くて殆ど帰ってこないんだよね。』


シヌがここへ来てから、互いのやり取りは1度としてないというのも驚く


 


尤も宿舎に住んでいるときですら、仕事以外での会話はそうなかったのだ。


二人の中が近づいたのは、ミニョがミナムとして活動していたときくらいだろう。


 


『社長も心配してたんだけど、普通に休めって言っても聞く耳持たないから、仕事の一環としてミュージカルを見に行かせることにしたんだって…あれで結構考えてるんだよね?』


「そうか…社長が…」


先日の電話の様子を思い出したシヌは、これで合点がいった。


いざとなれば、しっかりと自分たちのことを考えてくれている人なのである。


 


「それとね…「ミナム…!!」」


何かを言いかけた向こうから聞こえてきたのは、ジェルミの声。


 


『どうした?』


「あっううん…会ったときにゆっくり話すから」


ジェルミに聞かれたくなかったのか、ミナムはやけに慌しく通話を終えてしまったのだった。


 


切れた携帯を見つめるシヌは、ミナムからでた“デイリー劇場”の名になぜかわからないが妙に引っかかりを覚える。


シヌが住んでいる場所から車で時間ほどの劇場。


 


これまで遠く離れていたテギョンが、突然近くにくることに


違和感を感じて仕方がなかったのだった。


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ミニョちゃんとシヌの絡みが少なくてすみません。
ジェルミのパーティ参加は希望は容易に叶いました。
カイル君はジェルミが来るので、牽制してるのかもしれませんね。
キャラが被るし、お互いシヌ大好きなので・・・火花バチバチ

リタさんも、飛び入り参加を快く受けてくれました。
すっかり優しいオンニです。

一方ミナムは、いけなかったことを考える優しいお兄ちゃんです。
ミニョちゃんを期待させたのに、がっかりさせてくないですよね。

何気なく出たテギョンさんの話題。
この段階でミナムもテギョンさんの詳しいスケジュールは、把握してませんでした。
このぎこちない関係があるからこそ、今後の展開に繋がってゆきます。
テギョンさんの活躍をどこかで待っている不思議な自分がいます(爆)


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