[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ROULETTE 27
一方AN企画の社長室では―
「ふぅ…」
アン社長は、滅多に吸わないタバコを手にしていた。
昨日のシヌからの電話。
シヌのキャリアアップのためには、ありがたい話だ…
これまでグループ内でも、どこか一歩引いていたシヌ。
今回のドラマには、演技を通して今までに無い意欲を感じるのだ。
シヌの出演シーンも当初より、大幅に増えていると聞く。
社長個人としても、成長していくのは嬉しいことこの上ない。
もちろん、アン社長は他の3人のメンバーもその行く末を見守っている。
ジェルミとミナムは、最近コンビとしての仕事のオファーも増えてきた。
特にメインMCのジェルミは高評価で、視聴率も安定している。
残るは、リーダーであるテギョン。
彼の天才的音楽センスは、業界でも一目おかれるほど。
だが過去の偉大な音楽家もそうだが、大概天才と謳われる者は性格に多少の難がある。
テギョンもかつては手を焼いた。
他の意見には殆ど耳を貸さない。社長も例外ではなかった。
そんなテギョンに変化が見られたのは、ミナムが加入した頃。
表情が随分柔らかくなって、すぐに彼が作る曲にも影響を与える。
これまでにない、切ないメロディーが生まれたのだ。
そして、ライブでの予想外の行動。
ステージから降りてのハグには、誰よりも社長が驚いた。
相手の素性は明かさないが、恋人だと言う。
ライブの後しばらく会えなくなるから、我を忘れての行動だったと弁明。
リーダーにあるまじき行動とペナルティを課すところだったが、他の3人が必死にとりなすので厳重注意で済ませることにした
付き合いは順調に思えた。
そして1年後
『もうすぐ恋人を紹介するからな』
照れ笑いを浮かべるテギョンは、少年のように思えたものだ。
だが…
あるときを境に、テギョンの表情は以前の人を寄せ付けないものに戻ってしまう。
(もしかして別れたのか?)
即座に恋人の存在を思う。
男女の仲には付きものだと、そのときは深く気にも留めなかったが
そのダメージは予想以上だったのである。
それ以後とにかく尋常ない仕事量をこなすのだ。
もともと睡眠時間が多いほうではないが、1、2時間程度の睡眠が連日の上
時には徹夜もあったようだ。
『少しはゆっくり休め』
何度も忠告したが、より頑ななテギョンには届いていなかった。
昨日も疲れ切った様子で顔を出したので、本気で休暇をとらせなければならないと危惧したのだ。
そこで、海外のミュージカルを鑑賞することを提案することにした。
『オレは…興味ないが』
『そういうな…実はこっちでリメイクの話が出ていて…そうなったら音楽担当はお前に任せることになるから』
噂レベルではあるが、そうでも言わないということを聞きそうも無いテギョン。
『そうか…まぁ考えてみる』
余り気乗りしないテギョンを見て、諦めてきたところだったのだ。
そして再び事務所にやって来たテギョンは、上映場所を尋ねて来た
「ああ…LAのデイリー劇場だ。行く気になったのか?」
だめもとで聞いてみると、満更でもない表情を浮かべるテギョン。
「向こうでもずっとスタジオにこもってばかりだったしな…たまには違うこともしてみようと思う。」
「そうか…きっといい刺激になるぞ。そういえばジェルミとミナムも同じ時期にまたロケがあるんだ。偶然だな?結構近いぞ」
乗り気になっているテギョンに、たった今番組担当者から入った話をする。
「わかった…ところで、頼みがある」
改まって何を言うのかと思えば、向こうに行って数日休みを取りたいという。
「もちろんだ…いいか?命令だぞ!!しっかり休んで来い!!ああ遊びは程ほどにな!」
「わかっている…後はよろしく」
社長の言葉に、テギョンは見せた珍しい笑顔。
だからなのか?
これまで頑なに仕事ばかりしていたテギョンがの突然の変化を
深く考えることはなかったのだった
まるまるアン社長からの視点でした。
異国に居るシヌはもちろんですが、テギョンさんのことも心配している社長。
病的な仕事ぶりを見るにつけ、何とか休みをと思っていました。
これまで耳を貸さないたテギョンさんの豹変を、単純に喜んでしまいます。