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ROULETTE 29


ミニョは、ある決意をずっと胸に秘めていた。


 


その為に、以前よりもハードなリハビリメニューをこなす日々。


ロケ後のシヌが会いに来てくれても、睡魔には勝てないことがたびたびあった。


 


だがそんなミニョの秘め事は、たまたま会いに来たカイルによって、露呈してしまう。


 


“え?ミニョ…すごい”


“あっその…これはシヌオッパにはまだ”


“大丈夫だよ…二人の秘密だね?”


ミニョが必死に口止めを頼むと、いたずらっ子のように笑ったカイルであった。


 


ミニョの努力の甲斐あって、日に日に良くなっているのが実感でき


それが更に、良い成果に繋がってゆくのだ。


 


“ねぇパーティの日にさぁ、シヌにその姿を見せてあげようよ?”


“え?それは…まだ”


心の準備が出来ていなかったミニョは、カイルの申し出に戸惑ってしまう。


だが、ミニョをずっと見守ってきたシヌへのサプライズだといわれて決心したのだった。


 


そしてパーティ当日。


 


ミニョを迎えに来たのは、リタ。


前日シヌから連絡があったので、驚くことはなかったが


ほんの少し寂しく思う。


朝電話で話したばかりで、後で会えるというのに…ミニョのとってシヌの存在がそれほど大きいのだ。


 


「すみません…リタさん」


「もう、言ったでしょう?オンニだって!!」


英語のミニョに対し、リタはしっかり韓国語で返して来たのだ。


 


「フフどう?結構なものでしょう?」


「はいっびっくりです」


いつの間に覚えたのかと聞くと、教え方の特に優れている家庭教師を読んで


撮影後びっしりレッスンしたという。


当初は翻訳機を使ってのやり取りを考えていたようだが、やはり直接会話をしたいという強い思いからだった。


 


「こんなに真面目に勉強したことなんて、もうどれくらいぶりかしらね?」


トップ女優として多忙を極めるリタが、ここまでしてくれたことにミニョは


感極まって涙ぐんでしまう。


 


「ほら?そんな顔しない。これから楽しいことが待ってるのよ!!」


ミニョが車椅子を押しながらVIP専用口から出ると、自家用のリムジンへとそのまま乗せてもらった。


 


そして…ミニョがつれてこられてリタの自宅といえば


 


(ここ…何?)


林を抜けてどれほど走らせたのか


 


ミニョの眼前には、自身が通った学校よりも余裕で大きいであろう建物が飛び込んできたのである。


 


車から降ろした車椅子のミニョを、自ら押しながら入り口へと進むリタ。


 


「おかえりなさい。お嬢様…私共が」


「良いのよ…この子は私の大切な妹のような子だから…」


出迎えた使用人達が役目を代わるといっても、首を横に振り決して譲らなかった。


 


豪邸の広い廊下を過ぎ着いた部屋には、ショップ顔負けの洋服に靴やバッグが並べられていた。


 


「さぁ?今からミニョに一番似合う服をチョイスしてあげる」


「言え…私は…このままで」


張り切るリタに対し、固辞をするミニョ。


 


実は数日前にシヌからのプレゼントがあったときも、断ったのだ。


それでなくても入院費や諸々で負担をかけているというのに、これ以上甘えてしまっては申訳ない。


「あのね?ここにあるのは全部もうサイズが合わなくて私が着られなくなったものなのよ!!このまま捨てられちゃったらかわいそうだと思わない?ねっだからお願い来てちょうだい」


手を合わせてウィンクをするリタの言葉は更に続く…


 


「とびっきり可愛くなって、シヌを驚かせてあげましょう」


「リタオンニ…ありがとうございます」


ここまで言ってくれるリタの好意を素直に受けることにしたのだった。


 


 


一方のシヌは、ミニョの迎えの役割をリタに取られて手持ち無沙汰だった。


ミナムとジェルミの飛び入りを承諾する際の、条件がこれだったのだ。


 


“女の子は、支度だっていろいろあるの!!”


そういわれてしまっては、何もいえない。


せめてパーティドレスを送りたかったのに、頑なに拒んだミニョ。


慎ましく控えめなミニョのこととわかっていても、本音はもっと甘えて欲しい。


人間の欲というのは、限りが無いとつくづく思い知らされるのだった。


 


だが肝心の飛び入り二人は、ジェルミがどうしても外せない打ち合わせが入ってしまい


少し遅れるとい連絡を受けたばかりである


ミナムは身体が開いていたのだが、ジェルミの“先に行くのはダメ”と


強く言われているという。


『大丈夫だ…焦らずに来いよ・・・』


『うん・・・じゃあね』


 


通話を終えた後、片づけを始めていると


にぎやかな訪問者がやってきた。


 


「シヌ!!…そろそろ行くよ…」


「え?まだ早いだろう?」


パーティの開始は午後からだと聞いていたシヌは、早朝からやってきたカイルを見て戸惑いを隠せない。


 


「良いから…アレクが車で待ってるだから」


強引に腕を掴まれたシヌは、訳もわからぬまま車に押し込められてしまう。


 


「じゃあ…アレクよろしくね♪」「ああ…遅れないで来いよ…」


「おぃ…話が見えないぞ」


カイルのアレクのやり取りの中、一人蚊帳の外状態のシヌ。


 


アレクの向かった先は、ブランドのショップ。


 


「おいっいきなりつれて来てなんなんだ?」


一方的に告げたアレクは、ひたすら手元の携帯に集中してシヌの言葉に耳を貸さない。


 


しばらくして…


「決まったぞ…何も聞かずに…これに着替えろ!!」


完全に命令口調のアレクは、シヌの反論に耳を貸すはずも無く


渋々といわれるまま、用意されたスーツを身につけたシヌ。


 


「はぁ…なるほ似合う…ムカつくほど王子だな」


「無理やり着させられたのに、その言葉はないだろう?」


ため息を漏らしながら、ますます訳の沸かないことも呟くアレクにシヌは精一杯の抗議をするのだった。


 


 その頃カイルは、外出届けの書類を提出に病院を訪れていた。


口頭で許可をもらっていはいるが、書面で交わさなければならないことをミニョはともかく周りもすっかり忘れていたのは、いただけない。


 


案の定、看護士長からは小言を言われてしまう。


もちろんそんなことは、今のカイルには右から左へ余裕なのだ。


 


だが鼻歌交じりで戻るカイルは、次の瞬間一気に顔色が変わる


 


(え?アイツ…?)


一度見ただけで忘れられない強烈な存在感を放つ人物と、病院の入り口ですれ違ったのだった。


 


激しく動揺しながらも、ハンドルを握ったカイルはリタの家へと車を走らせる。


そして到着する頃には、いつもの笑顔を必死に貼り付けていたのだった。



===========================================================================
 


ついにやって来たパーティ当日です。


ミニョちゃんを迎えに行く役をリタさんに取られてしまったシヌ。



ほんの少しでも離れていたくないのでしょうか?

リタさんは、ミニョちゃんをドレスUPするために頑張ってくれました。



本当に可愛がってくれます。



一方のシヌには、アレクがついてましたし・・・




和やかな雰囲気の中、


カイル君は、あの方とすれ違ってしまいました。


存在感ハンパないですからね・・・


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