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ROULETTE 19



部屋に戻った途端、カイルはこらえていた笑いが一気にこみ上げてきた。

「ククク…アハハ」
ジェルミがMCを担当しているバラエティは、本当に面白い。
(言葉がわからないという振りも、こういうときは厄介だな)


其れでも、無表情を決め込むには限界があった。

映像でだけ笑っていたということにしたが、シヌに何か感づかれたのではと冷や汗ものだ。
(こういうところは、やっぱり鋭いし)

「それにしてもあいつ、本当にからかいがいのあるやつ」
こっちの挑発に、あまりにもストレートすぎる反応をするジェルミ。


ミニョの病室へよった帰り道、反対側からやって来た二人組みと擦れ違った。

(あれ?あいつらシヌの…)
名前は忘れたがドラム担当の金髪、隣にいるのはなるほど良く似てるーミニョの双子の兄貴だ。


“ねぇミニョの病院ってこの辺なんだろう”
“そのはずだけど…変だな道間違えたのかな”
二人に会話が耳に入った。

間違ってはいない…少しわかりにくいだけ。

しばらくすると、どうやら、金髪のほうが小走りでこっちへやって来た
訊いた方がと早い考えたのだろう…予想通り大学病院への道筋。

ここからなら、ゆっくり歩いても15分ほどで付く距離だ。

だが…カイルにはある考えが浮かんでしまう。
あの後おそミニョらくは、シヌに連絡をするだろう。

(このタイミングは、いくら兄貴でもオジャマ虫だよな)
少しだけ遠回りをさせたつもりだった。

こんなに時間がかかったのは、袋小路にぶつかったのかもしれない。
(それは・・・オレのせいじゃないし)
一応自分自身を擁護する。

シヌにくっついてきたジェルミを目にしたとき、屈託なく甘えるその姿が羨ましく・・また嫉妬すら感じてしまった。

シヌがこっちへいるのは撮影中のあいだだけ…
帰国したら自分の存在など、すぐに忘却の彼方へと飛んでしまうに違いない。

「一人で寝るベッドは、やっぱりひろいな…」
そう呟いていたのであった。


翌朝、ミニョの病室ジェルミと一緒に向かったシヌ。
ジェルミはこの後番組収録の打ち合わせのため、ミナムを迎えに来たのだ。
尤もミナムは、後での入りでも良かったのだが・・・ジェルミが一人はいやだといったらしい。

病室の前に来ると、ミニョの可愛い声が聞こえてきた。
“っもう…オッパたらぁ…そんなこと言っていじわるだぁ”

こんなに素直に甘えた声は、やっぱり初めて聞く
やはりミナム相手だからなのだろう。

シヌに心を許してくれているとはいっても、肉親のそれには到底適わない。

(フッ…ミナムに張り合うなんて…これじゃあジェルミと変わらない)

シヌは思わずく苦笑してしまった。

ノックに続いて入っていくと、ミニョはすぐにこちらへ気付いてくれた。

「シ・・シヌオッパ…ジェルミさんお早うございます」
「おは「おはようーミニョ…あれっシヌオッパって?」
シヌが返事をする前に、意外な呼び方に対してジェルミが即座に反応した。


「あの…それは」
「そんなの良いだろ…行くぞ」
ジェルミの話を遮り、腕をつかむミナム。

「もうちょっと位ミニョと話をさせてくれても…」
「昨日散々話ただろう…それに今回オレ達は仕事で来てるんだ」
ぼやくジェルミに、ぴしゃりと言い放つミナム。
だが、そこはやっぱり素直なジェルミ。すぐにミナムの意見に同意した。

「じゃぁシヌヒョン悪いけど、後よろしくお願いします。ミニョ我がまま言ってシヌヒョンに迷惑をかけるなよ!!」
兄らしい言葉を残して、ミナムは病室を後にしたのだった。


それからしばらくして・・・
歩きながら…ミナムは昨夜のミニョとの会話を思い出していた。

“シヌオッパって…私のフィアンセなんでしょ”
人はあまりにも衝撃的な話を聞くと、思考回路が停止するというが
ミナムはまさにそうだった。

何か言いたいのに、全く言葉が出ないのである。

“シヌオッパが優しくしてくれるのって、オッパの妹だけの理由じゃないって言った
あの言葉の意味わかったんだ”


あの時ミナムはそんなつもりで言ったんじゃなく、単にシヌの気持ちを確かめればという
思惑だった。


それにしても、誰が何のためにフィアンセなどと吹聴したのだろう。
看護士の失言によって知ったというが、少なくともシヌは違う。
ミニョに対しては誠実すぎるほどのシヌが、ありえない。


“それで?ミニョはその話を聞いてどう思った?”
“うん…凄くびっくりした。だけどなんでかな…シヌオッパって凄く優しくて
傍にいてくれるだけで心が温かくなるの。
それにね忙しいのに、毎日のように会いに来てくれて

疲れた顔なんて見せないんだ。いつも私の心配ばっかりで…
シヌオッパを覚えてない私をどんな気持ちで見てたのかなって思ったら…
涙がとまらなくなっちゃった”

シヌと再会してからの日々を思い出していたという。

その後やって来たシヌには、看護士がとっさに機転を利かせてくれたらしい。

ミニョの話を静かに聞きながら、何故はっきりとその話を否定しないのだとミナムが自問自答していた。

《違うよ!シヌヒョンはフィアンセなんかじゃない。お前の恋人はファン・テギョンだ》
そうはっきり告げるチャンスはいくらでもあるというのに…

だがこんなことになる前からずっと思ってたことがミナムにはあった。
大切な妹を任せられる相手として二人を天秤にかけたら、少しの迷いもない
間違いなくシヌに託したいと思っている。

それにここにいるミニョは病人には違いないが、自分が知っている中で一番女の子の表情をしている。
いま確かにミニョは恋をしているのだ。

シヌの気持ちはわかりきっている。
だからミナムは、このまま黙認をすることを決めた。

他の人にはこの話が耳に入らないようにと、ミニョに口止めをする。
“わかってる…シヌオッパにしれたら気をつかうもの。オッパと二人の秘密だね”
そういって指切りをした。

こうして時間を稼げるうちに稼いで…二人の関係を揺ぎ無いものにしておけばいい。

「ミナム…さっきからどうしたんだよ?難しい顔して?」
ジェルミが心配そうに声を掛けてきた。
(そう言えば…こいつもミニョのこと…)
ジェルミだって人間的には凄くいい奴だ。だからこそミニョにとっていつまでも変わらない友達ていて欲しいと思ってしまう

「ああ…ごめん…武者震いかもな…緊張してるみたいだ…オレうまくできるかな」
「大丈夫だよ!!俺に任せておけば」
自信満々のジェルミ笑顔が、やけに眩しかったのだった。


======================================================


キリが良いので、一旦ここで終わります


カイルくんは、足止めが目的で遠回りさせたようです。


まだ謎な部分が多くてすみません。


 


一方ミナムは、ミニョちゃんから重大な話を聞かされました。


混乱する頭の中…ハッキリしているのはミニョちゃんの幸せ。 


そうしたら、相手はもちろん一人しかいませんよね。 


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