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ROULETTE 11



上の連中がいなくなったことで、あとは自由になった。


このときがチャンスだと思い、カイルに言付けてホテルに戻るシヌ。


移動中のタクシーの中、携帯を確認したがミニョからの着信はない。


 


「はぁ・・・リハビリ初日なら疲れているよな・・・」


別に自分はミニョの恋人でもなんでもない。言うなれば兄の同僚。


思った以上に自分が落胆しているのを感じながらベッドに寝転び携帯をしばらく見つめる。


 


すると待ちわびた人からの着信を告げた。


 


「もしもし!!」


ガバッと勢いよく起き上がって、電話に出るシヌ。


 


「あっミニョです・・・すみません・・・こんな時間でお休み中でしたか?」


いつでもこっちを気遣うミニョ


 


「いや・・・全然まだまだ起きているよ。だけどミニョこそ深夜だよ大丈夫?」


入院中のミニョにとっては、とっくに寝ている時間だ。もしかして疲れすぎて眠れなかったのだろうか。


 


「今日リハビリの初日終わりました。もっと早い時間にって思ったんですけど撮影中なら迷惑かなって・・・」


どうやら昨日の電話のことを気にしているのだ。


 


「すぐに出れなくても、ミニョからの電話なら掛けなおすんだよ。俺ににそんな風に気を使わないで?」


電話がないことに悶々していたが、実はミニョの思いやりだったことがわかり愛しさが溢れてしまう。


目の前にいたら・・・堪らず抱きしめていたかもしれない。


 


「はい・・・でも疲れていたり忙しかったら、無理しないで下さい」


尚も自分を気遣うシヌに、ミニョの声が聞こえないことのほうが無理だと強く言い切ってしまった。


 


肝心のリハビリは、予想以上に緊張してガチガチだったらしい。


「トレーナーの先生に、何度もリラックスといわれてしまいました」


「先生の言うとおりだよ・・・まだまだ先が長いんだからね」


ミニョの身体が元通りになることをもちろん願うが、あせって欲しくないのだ。


 


その後は他愛もない話の後、アレクとリタがミニョに会いたがっている事も伝える。


「ミニョの気が進まないのなら、無理しなくていいからね」


そういってミニョを気遣う心の片隅には、


彼女を隠しておきたいという気持ちは間違いなくあったのだった。


 


強引であったがミニョから必ずもらえる電話。その声を聞くだけで、ハードなロケもやり遂げられる気がした。


何より、できるだけ早く終わらせてミニョに会いに行きたい。


だがシヌのその思いは確実に演技にも良い影響がでて、更に出演シーンが増えるという結果を招くことになった。


 


所変わって、ANJELLの宿舎。


シヌがいたころはにぎやかだったこの場所が、やけに静まり返っているとミナムは感じる。


 


グループとしてして活動停止中の状況下、作曲家として多忙を極めるテギョン。


トーク力を買われ新番組のMCに抜擢されたジェルミ。


そんな二人に比べたら、ミナムのスケジュールには余裕がある。


尤もいくつかあるオファーを、断っていての状況だが・・・


 


ミニョのことがあってから、単発の仕事のみ入れて貰っているのだ。


何かあれば、駆けつけることが出来るようにという思いで・・・


 


ミニョのことは、まだミナムの胸のうちに留めている。


記憶障害のことを知ったら、テギョンは強硬手段に出るかもしれない。


気性の激しいテギョン。仮にも恋人であった自分の存在を忘れているなんてプライドが許さないだろう。


 


「そこが・・・シヌヒョンとの決定的な違いだろうな」


ミニョの写真を見ながら、話しかけるミナム


するとミナムの携帯が着信を告げる。


(噂をすれば・・・なんとやらだな)


 


『オッパ?』


「ミニョ・・・電話くれるの久しぶりじゃないか?オッパは寂しくて泣いていたよ」


しくしくと電話越しに泣きまねをするミナムに、素直はミニョはあせっているようだ


 


『ごっごめんね・・・オッパも仕事が忙しいって思って』


「可愛い妹からの電話なんだから、気にするな?でどうだ?リハビリは順調か?」


先週ミニョからの連絡を受けてから、経過が気になっていたのである。


 


『うん・・・自分ではわかんないや・・・』


「そうか・・・焦るなよ・・・先は長いんだ」


そういって励まそうとすると、とっくに同じ言葉を言われていたらしい。


 


『シヌさんがね・・・目標を決めてリハビリに臨めば良いって・・・』


「シヌヒョンが・・・そうか?」


ミニョからの会話にシヌのワードが頻繁に出ている。


最初は記憶を失っての心細さ故だと思っていたが・・・


 


それだけじゃないだろう・・・


 


ミニョの話によると地方ロケにいくまでは、殆ど欠かさず会いにきていたという。


そして疲れた様子など決して見せない。


いつも、ミニョの身体を気遣うらしい。


 


『オッパのお陰でシヌさんに優しくしてもらえるんだよね?ありがとう』


「え?お前なぁ・・・それだけのはずないだろう」


ここまでされて単なる好意だと未だに思っている、鈍感な妹。


 


『それだけじゃないって・・・何?』


「さぁね・・・本人に聞いてみればーどうしてですかって」


ミニョの疑問に対し、冗談交じりで答えるミナム。


 


だが・・・素直なミニョはそのままの意味で受け取ったようだ。


 


シヌはおそらく自分からは動かないだろう。


記憶を失っているミニョの弱みに・・・そういうことを考えない男だ。


だけど・・・今のミニョの心を占める多くはシヌ。


シヌが傍にいるからこそ、ミナムも安心して任せることができたのだ。


できれば・・・記憶を取り戻さないままで、シヌとうまく行って欲しいとすら思う。


抜け落ちた数年間は、案外問題じゃない。


 


だが・・・ミナムはすっかり忘れていた。


シヌとは違った形でミニョを大切に思っていた一人の男を・・・・


 


ミニョことを、テギョンとジェルミに伏せていたためいつもは部屋でこっそりと話していたミナムだが・・・今日は二人が泊まりの仕事だと聞いていたので…リビングでくつろいでいたのだ。


話に夢中で、ドアが開いたことにも気付かない。


『それじゃあ・・・オッパ・・・』


「ああ・・・いつでも電話してこいよ・・・ミニョ」


そうして通話を終えたミナム


 


「ミニョ・・・って今の電話ミニョなの?」


誰にいないはずのリビングに、よく知った声。


まさかと思ってミナムが振り向くと・・・


 


「どういこと・・・説明してよ・・・!!」


今にも泣きそうな顔で、ジェルミが立っていたのだった。


 



 


 

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