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ROULETTE 30


カイルとほぼ同時に、アレクの車も到着した。


 


「お待ちしておりました。皆様こちらへ」


なぜか屋敷の中に入らずに、そのまま裏手に移動となる。


 


今日は天気が良いので、野外でのパーティをするのか?


ミニョの体調はどうなのだろう・・・


考え事をしながらすすむと、リタとともに席についているミニョがいた。


 


「ミニョ!」


「シヌオッパ…こっこんにちは」


皆がいるのに、つい大きな声をあげてしまったことにはっとする。


案の定、ミニョは少し恥ずかしそうに俯いているのだ。


 


「さぁ、早く座りなさいよ!」


リタに促されて席に着くと、すぐに飲み物が運ばれてきた。


 


「じゃあ、始めましょうか?」


ドラマのヒットと、シーズン2決定を祝うリタの言葉。


 


「まぁ?この私が出ているのにヒットしないなんてありえないけどね」


「おいおい・・・主役はオレだろう?」


リタの言葉に物申すのは、アレク。


揃っていい性格をしているものだ。


 


「そして・・・」


一旦言葉を切ると、リタは隣に座っているミニョを見つめて


 


「そして可愛い妹に巡り合わせてもらった幸運に、乾杯!!」


驚いたことに、韓国語なのだ。


ミニョの表情ははっきりとは分からないが、喜んでいるに違いない。


 


それに引き換え言葉の分からないアレクとカイルは、グラスを上げるリタを


見てそれに続く。


 


ノンアルコールのシャンパンを飲むと、再びリタが言葉を発した。


 


「シヌ?ミニョにあわせてくれたあなたに、とっておきのサプライズがあるわ。


立って・・・」


「はいはい…分かったよ」


何をされるか分からないが、このお嬢様に反論するのは無駄な抵抗だろう


やれやれといった表情で、リタの示す位置へと移動したシヌ。


 


だが…その表情はすぐに驚きへと変わる。


 


 


リタに手を引かれたミニョが、ゆっくりと近づいてきたのだ。


 


「大丈夫?」


「はい…ありがとうございます」


少しふらつくミニョに優しく声を掛けたリタの手が、離れると


一歩また一歩とシヌの目の前にやってくる。


 


「ミニョ…歩けるようになったのか?驚いたな。気付かなかったよ」


「ごめんなさい…今まで隠していて…まだ少しなんですが」


周りを見ても反応が薄いところを見ると、既にこの事実を知っていたようだ。


ミニョが自分の足で歩いていることは嬉しいのだが、一番先に知らされなかったことがおどこか寂しく思う。


 


「おいっシヌ拗ねるな!!オレも知ったのは今日だぞ」


「ミニョ!!余り長くそうしていると疲れるから早く」


微妙な空気を察知したアレクとリタから、掛けられる言葉。


 


 


「シヌオッパ…私…自分で歩けるようになったら…伝えたいと思っていたことがありました」


大きく息を吸い込んだミニョ。


いったい何を話すのだろう?シヌには全く見当も付かない。


 


「私…事故にあってシヌオッパのことを忘れてしまいました。本当にごめんなさい」


「良いんだ…それはもう…」でも!!」


気にしなくても良いというシヌの言葉を大声で遮ったミニョは、更に話を続ける。


 


 


「でも…私は…以前の記憶が無くてもまた好きになりました」


「え?今…なんて?」


ミニョの口から出たのは、到底信じられない言葉。


聞き間違いに違いない。


 


「シヌオッパが好き…こんな私でも、もう一度受け入れてくれますか?」


「ミニョ…本当に本当にオレのこと?」


「はい…好き・・・好き・・・大好き…信じてもらえましたか?」


潤んだ目で見つめるミニョを、そっと胸の中に閉じ込めたシヌ。


 


かつてどれほど思い焦がれても決して自分のほうを見てくれなかったミニョが


こうして腕の中にしっかりと存在している。


これまで生きてきた中で一番の幸福だと思えた瞬間だった。


 


その嬉しさのあまり…


ミニョからでた“もう一度”と言う言葉の意味を深く考えられなかったのは


仕方がなかったのかもしれない。


 


======================================
 


漸くここまで、書けました。


今のミニョちゃんにとって、シヌはフィアンセなんです。


自分なりのけじめとして、告白するタイミングを計っていたのでリハビリに励んでいました。


 


全くの不意打ちだったミニョちゃんの告白に、シヌは驚きと嬉しさでいっぱいです。


このままでは終わらないと思いますが・・・一応の区切りとしてかけたと思います。


 


拍手[38回]

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ROULETTE 29


ミニョは、ある決意をずっと胸に秘めていた。


 


その為に、以前よりもハードなリハビリメニューをこなす日々。


ロケ後のシヌが会いに来てくれても、睡魔には勝てないことがたびたびあった。


 


だがそんなミニョの秘め事は、たまたま会いに来たカイルによって、露呈してしまう。


 


“え?ミニョ…すごい”


“あっその…これはシヌオッパにはまだ”


“大丈夫だよ…二人の秘密だね?”


ミニョが必死に口止めを頼むと、いたずらっ子のように笑ったカイルであった。


 


ミニョの努力の甲斐あって、日に日に良くなっているのが実感でき


それが更に、良い成果に繋がってゆくのだ。


 


“ねぇパーティの日にさぁ、シヌにその姿を見せてあげようよ?”


“え?それは…まだ”


心の準備が出来ていなかったミニョは、カイルの申し出に戸惑ってしまう。


だが、ミニョをずっと見守ってきたシヌへのサプライズだといわれて決心したのだった。


 


そしてパーティ当日。


 


ミニョを迎えに来たのは、リタ。


前日シヌから連絡があったので、驚くことはなかったが


ほんの少し寂しく思う。


朝電話で話したばかりで、後で会えるというのに…ミニョのとってシヌの存在がそれほど大きいのだ。


 


「すみません…リタさん」


「もう、言ったでしょう?オンニだって!!」


英語のミニョに対し、リタはしっかり韓国語で返して来たのだ。


 


「フフどう?結構なものでしょう?」


「はいっびっくりです」


いつの間に覚えたのかと聞くと、教え方の特に優れている家庭教師を読んで


撮影後びっしりレッスンしたという。


当初は翻訳機を使ってのやり取りを考えていたようだが、やはり直接会話をしたいという強い思いからだった。


 


「こんなに真面目に勉強したことなんて、もうどれくらいぶりかしらね?」


トップ女優として多忙を極めるリタが、ここまでしてくれたことにミニョは


感極まって涙ぐんでしまう。


 


「ほら?そんな顔しない。これから楽しいことが待ってるのよ!!」


ミニョが車椅子を押しながらVIP専用口から出ると、自家用のリムジンへとそのまま乗せてもらった。


 


そして…ミニョがつれてこられてリタの自宅といえば


 


(ここ…何?)


林を抜けてどれほど走らせたのか


 


ミニョの眼前には、自身が通った学校よりも余裕で大きいであろう建物が飛び込んできたのである。


 


車から降ろした車椅子のミニョを、自ら押しながら入り口へと進むリタ。


 


「おかえりなさい。お嬢様…私共が」


「良いのよ…この子は私の大切な妹のような子だから…」


出迎えた使用人達が役目を代わるといっても、首を横に振り決して譲らなかった。


 


豪邸の広い廊下を過ぎ着いた部屋には、ショップ顔負けの洋服に靴やバッグが並べられていた。


 


「さぁ?今からミニョに一番似合う服をチョイスしてあげる」


「言え…私は…このままで」


張り切るリタに対し、固辞をするミニョ。


 


実は数日前にシヌからのプレゼントがあったときも、断ったのだ。


それでなくても入院費や諸々で負担をかけているというのに、これ以上甘えてしまっては申訳ない。


「あのね?ここにあるのは全部もうサイズが合わなくて私が着られなくなったものなのよ!!このまま捨てられちゃったらかわいそうだと思わない?ねっだからお願い来てちょうだい」


手を合わせてウィンクをするリタの言葉は更に続く…


 


「とびっきり可愛くなって、シヌを驚かせてあげましょう」


「リタオンニ…ありがとうございます」


ここまで言ってくれるリタの好意を素直に受けることにしたのだった。


 


 


一方のシヌは、ミニョの迎えの役割をリタに取られて手持ち無沙汰だった。


ミナムとジェルミの飛び入りを承諾する際の、条件がこれだったのだ。


 


“女の子は、支度だっていろいろあるの!!”


そういわれてしまっては、何もいえない。


せめてパーティドレスを送りたかったのに、頑なに拒んだミニョ。


慎ましく控えめなミニョのこととわかっていても、本音はもっと甘えて欲しい。


人間の欲というのは、限りが無いとつくづく思い知らされるのだった。


 


だが肝心の飛び入り二人は、ジェルミがどうしても外せない打ち合わせが入ってしまい


少し遅れるとい連絡を受けたばかりである


ミナムは身体が開いていたのだが、ジェルミの“先に行くのはダメ”と


強く言われているという。


『大丈夫だ…焦らずに来いよ・・・』


『うん・・・じゃあね』


 


通話を終えた後、片づけを始めていると


にぎやかな訪問者がやってきた。


 


「シヌ!!…そろそろ行くよ…」


「え?まだ早いだろう?」


パーティの開始は午後からだと聞いていたシヌは、早朝からやってきたカイルを見て戸惑いを隠せない。


 


「良いから…アレクが車で待ってるだから」


強引に腕を掴まれたシヌは、訳もわからぬまま車に押し込められてしまう。


 


「じゃあ…アレクよろしくね♪」「ああ…遅れないで来いよ…」


「おぃ…話が見えないぞ」


カイルのアレクのやり取りの中、一人蚊帳の外状態のシヌ。


 


アレクの向かった先は、ブランドのショップ。


 


「おいっいきなりつれて来てなんなんだ?」


一方的に告げたアレクは、ひたすら手元の携帯に集中してシヌの言葉に耳を貸さない。


 


しばらくして…


「決まったぞ…何も聞かずに…これに着替えろ!!」


完全に命令口調のアレクは、シヌの反論に耳を貸すはずも無く


渋々といわれるまま、用意されたスーツを身につけたシヌ。


 


「はぁ…なるほ似合う…ムカつくほど王子だな」


「無理やり着させられたのに、その言葉はないだろう?」


ため息を漏らしながら、ますます訳の沸かないことも呟くアレクにシヌは精一杯の抗議をするのだった。


 


 その頃カイルは、外出届けの書類を提出に病院を訪れていた。


口頭で許可をもらっていはいるが、書面で交わさなければならないことをミニョはともかく周りもすっかり忘れていたのは、いただけない。


 


案の定、看護士長からは小言を言われてしまう。


もちろんそんなことは、今のカイルには右から左へ余裕なのだ。


 


だが鼻歌交じりで戻るカイルは、次の瞬間一気に顔色が変わる


 


(え?アイツ…?)


一度見ただけで忘れられない強烈な存在感を放つ人物と、病院の入り口ですれ違ったのだった。


 


激しく動揺しながらも、ハンドルを握ったカイルはリタの家へと車を走らせる。


そして到着する頃には、いつもの笑顔を必死に貼り付けていたのだった。



===========================================================================
 


ついにやって来たパーティ当日です。


ミニョちゃんを迎えに行く役をリタさんに取られてしまったシヌ。



ほんの少しでも離れていたくないのでしょうか?

リタさんは、ミニョちゃんをドレスUPするために頑張ってくれました。



本当に可愛がってくれます。



一方のシヌには、アレクがついてましたし・・・




和やかな雰囲気の中、


カイル君は、あの方とすれ違ってしまいました。


存在感ハンパないですからね・・・


拍手[25回]

ROULETTE 28


リタ主催のパーティが近日に迫ったある日。


 


パーティのことで話があると言い出したシヌに、リタの表情は変わった。


 


「ちょっと何よ?まさかミニョが来れないなんていわないでしょうね」


「いや…そうじゃなくて…」


彼女の余りの剣幕に、シヌは怯みながらも続けた


 


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


それは、早朝のジェルミからの電話に遡る。


『シヌヒョン!オレとミナムまたロケでそっちに行くんだよ。でね、なあんと


オフの日がパーティの日と同じなんだ。すっごい偶然だよね?』


見え見えのことを平然と言ってのけるジェルミにシヌは、苦笑しかない。


偶然も何も、パーティーの日程を根掘り葉掘り聞いていたのは他ならぬジェルミだ。


 


『わかった…2名の飛び入り参加が出来るか聞いてみてやるから』


『ええ…いいの?シヌヒョン大好き!!じゃあ連絡待ってるよ』


言いたいことだけ言って、その通話はすぐに終わってしまったのだった。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


だが、相手はリタである。


承諾してもらえるかどうかが不安であった。


だが、それはシヌの徒労で終わることになる。


 


「そう別にいいわよ…ミニョの双子なら会ってみたいし…もう一人の子もシヌのバンド仲間なら問題ないわ」


「ありがとう!!」


以前のリタだったからわからないが、ミニョと知り合ってからは確実に変わった気がした。


 


その場でジェルミに連絡を入れると、テンションMAXのジェルミの声が聞こえてきた。


するとなぜか携帯をスット引き抜かれる。


 


「おい、カイル?」


シヌが止める間もなく、勝手に話をしているのだ。



  



Hello! Do you know who I am?



いきなり相手が変わってジェルミは少し困惑していたが、すぐにカイルの声に気付いたようだ。



「すごい!良くわかったねキミは天才だ。それにしてもラッキーだよね?本当はお呼びじゃなかったのにミニョの兄さんのコネがあってさ。じゃあねー!!」



言いたいことが終わったのか再びシヌに戻った電話の向こうからは、ジェルミの怒りの声が響き渡った。



 


『シヌヒョーン!!あいつ生意気だよー!!オレを馬鹿にしたんだからー』


「わかった。興奮するな」


ジェルミを宥めるのを、みてカイルはクスクス笑っている。


 


「カイル、ジェルミを挑発するなよ」


「だってぇーからかうとムキになって楽しいんだもん。子供みたいでさ」


シヌの苦言もどこ吹く風のカイル。


もっともシヌから見れば、二人は良く似ていると思うのだが。


 


その日の撮影は、思ったよりも長引いてしまう。


終わった足でミニョの病室へ向かうが、生憎既に夢の中。


それでも穏やかな寝顔に、シヌはほっとするのだ。


 


見つめすぎていたせいなのか?ミニョがぱちりと目を開けてしまう。


 


「シヌオッパ?」


「ごめん…起こしちゃったね?だめだよそのまま」


起き上がろうとするミニョを、そっとベッドに戻すシヌ。


 


「だいじょう…ぶです…すこしくらい…せっかくシヌオッパがきてくれているのに」


「だめだよ?パーティの前に体調崩したら、外泊許可下りないだろう?おとなしく言うことを聞いて?」


不満げなミニョを宥めると、そっと瞼に指を乗せる。


 


「魔法をかけてあげるよ?こうして3回ゆっくりと触れるとまたすぐに眠くなるから」


とっさに言ってしまった、結構恥ずかしい言葉。


ミニョと再会してからは、自分でも驚くくらいの甘い言葉が出てしまうのだ。


 


だが程なくミニョから静かな寝息が聞こえてきたところをみると、効果はあったようだ。


覚醒しきってなかったので、そのまま眠りに付いたのだろう。


 


「朝までゆっくりおやすみ…眠り姫」


額の髪をかきあげると、額にそっと唇を寄せる。


その後はゆっくりと、病室を出て行ったのであった。


 


アパートに着いたそのタイミングで、ミナムからの着信。


『ごめん…ジェルミの奴無理言ったんだろう?オレがうっかりパーティの件を話してしまったから』


「気にするな…ミニョも喜ぶよ。会うの久しぶりだろう?まだ言ってないんだけどね」


一瞬目を開けたときに伝えたら、そのまま興奮して眠れないだろうと思い敢えて言わなかったシヌ。


だが、その判断はミナムにとって好都合だったという。


 


『だって…仕事でのスケジュールの変更なんて良くあることだろう?がっかりさせたくないんだ』


ミニョの心情を慮る発言に、シヌも納得する。


 


「そうか…まあミニョへのとびっきりのサプライズにするのも、良いかもな」


『うん…だから、当日まで内緒にしておいてよね…』


互いにミニョの反応を楽しんでいたのだが、いきなりミナムが真面目な口調に変わった。


 


『本当シヌヒョンにはミニョンことで世話になりっぱなしで…ごめん…これからもお願いします』


改めてそういわれるのは、おそらくシヌがミニョにとって兄の同僚に過ぎないからだと分かっている。


 


もし…恋人だったなら…


その時、ふと自分でも気づかぬうちに口に出でしまう。


 


「ところで、テギョンはどうしてる?」


『え?ああ…相変わらず仕事ばっかりだよ…海外も多くて殆ど帰ってこないんだよね。』


シヌがここへ来てから、互いのやり取りは1度としてないというのも驚く


 


尤も宿舎に住んでいるときですら、仕事以外での会話はそうなかったのだ。


二人の中が近づいたのは、ミニョがミナムとして活動していたときくらいだろう。


 


『社長も心配してたんだけど、普通に休めって言っても聞く耳持たないから、仕事の一環としてミュージカルを見に行かせることにしたんだって…あれで結構考えてるんだよね?』


「そうか…社長が…」


先日の電話の様子を思い出したシヌは、これで合点がいった。


いざとなれば、しっかりと自分たちのことを考えてくれている人なのである。


 


「それとね…「ミナム…!!」」


何かを言いかけた向こうから聞こえてきたのは、ジェルミの声。


 


『どうした?』


「あっううん…会ったときにゆっくり話すから」


ジェルミに聞かれたくなかったのか、ミナムはやけに慌しく通話を終えてしまったのだった。


 


切れた携帯を見つめるシヌは、ミナムからでた“デイリー劇場”の名になぜかわからないが妙に引っかかりを覚える。


シヌが住んでいる場所から車で時間ほどの劇場。


 


これまで遠く離れていたテギョンが、突然近くにくることに


違和感を感じて仕方がなかったのだった。


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ミニョちゃんとシヌの絡みが少なくてすみません。
ジェルミのパーティ参加は希望は容易に叶いました。
カイル君はジェルミが来るので、牽制してるのかもしれませんね。
キャラが被るし、お互いシヌ大好きなので・・・火花バチバチ

リタさんも、飛び入り参加を快く受けてくれました。
すっかり優しいオンニです。

一方ミナムは、いけなかったことを考える優しいお兄ちゃんです。
ミニョちゃんを期待させたのに、がっかりさせてくないですよね。

何気なく出たテギョンさんの話題。
この段階でミナムもテギョンさんの詳しいスケジュールは、把握してませんでした。
このぎこちない関係があるからこそ、今後の展開に繋がってゆきます。
テギョンさんの活躍をどこかで待っている不思議な自分がいます(爆)


拍手[20回]

ROULETTE 27



一方AN企画の社長室では―


 


「ふぅ…」


アン社長は、滅多に吸わないタバコを手にしていた。


 


昨日のシヌからの電話。


シヌのキャリアアップのためには、ありがたい話だ…


これまでグループ内でも、どこか一歩引いていたシヌ。


今回のドラマには、演技を通して今までに無い意欲を感じるのだ。


シヌの出演シーンも当初より、大幅に増えていると聞く。


社長個人としても、成長していくのは嬉しいことこの上ない。



 


もちろん、アン社長は他の3人のメンバーもその行く末を見守っている。


 


ジェルミとミナムは、最近コンビとしての仕事のオファーも増えてきた。


特にメインMCのジェルミは高評価で、視聴率も安定している。


 


残るは、リーダーであるテギョン。


彼の天才的音楽センスは、業界でも一目おかれるほど。


だが過去の偉大な音楽家もそうだが、大概天才と謳われる者は性格に多少の難がある。


 


テギョンもかつては手を焼いた。


他の意見には殆ど耳を貸さない。社長も例外ではなかった。


 


そんなテギョンに変化が見られたのは、ミナムが加入した頃。


表情が随分柔らかくなって、すぐに彼が作る曲にも影響を与える。


これまでにない、切ないメロディーが生まれたのだ。


 


そして、ライブでの予想外の行動。


ステージから降りてのハグには、誰よりも社長が驚いた。


相手の素性は明かさないが、恋人だと言う。


ライブの後しばらく会えなくなるから、我を忘れての行動だったと弁明。


 


リーダーにあるまじき行動とペナルティを課すところだったが、他の3人が必死にとりなすので厳重注意で済ませることにした


 


付き合いは順調に思えた。



そして1年後


『もうすぐ恋人を紹介するからな』


照れ笑いを浮かべるテギョンは、少年のように思えたものだ。


 


だが…


あるときを境に、テギョンの表情は以前の人を寄せ付けないものに戻ってしまう。


(もしかして別れたのか?)


即座に恋人の存在を思う。


男女の仲には付きものだと、そのときは深く気にも留めなかったが


そのダメージは予想以上だったのである。


 


それ以後とにかく尋常ない仕事量をこなすのだ。


もともと睡眠時間が多いほうではないが、12時間程度の睡眠が連日の上


時には徹夜もあったようだ。


 


『少しはゆっくり休め』


何度も忠告したが、より頑ななテギョンには届いていなかった。


 


昨日も疲れ切った様子で顔を出したので、本気で休暇をとらせなければならないと危惧したのだ。


そこで、海外のミュージカルを鑑賞することを提案することにした。


 


『オレは…興味ないが』


『そういうな…実はこっちでリメイクの話が出ていて…そうなったら音楽担当はお前に任せることになるから』


噂レベルではあるが、そうでも言わないということを聞きそうも無いテギョン。


 


『そうか…まぁ考えてみる』


余り気乗りしないテギョンを見て、諦めてきたところだったのだ。


 


そして再び事務所にやって来たテギョンは、上映場所を尋ねて来た


 


「ああ…LAのデイリー劇場だ。行く気になったのか?」


だめもとで聞いてみると、満更でもない表情を浮かべるテギョン。


 


「向こうでもずっとスタジオにこもってばかりだったしな…たまには違うこともしてみようと思う。」


「そうか…きっといい刺激になるぞ。そういえばジェルミとミナムも同じ時期にまたロケがあるんだ。偶然だな?結構近いぞ」


乗り気になっているテギョンに、たった今番組担当者から入った話をする。


 


「わかった…ところで、頼みがある」


改まって何を言うのかと思えば、向こうに行って数日休みを取りたいという。


 


「もちろんだ…いいか?命令だぞ!!しっかり休んで来い!!ああ遊びは程ほどにな!」


「わかっている…後はよろしく」


社長の言葉に、テギョンは見せた珍しい笑顔。


 


だからなのか?


これまで頑なに仕事ばかりしていたテギョンがの突然の変化を


深く考えることはなかったのだった


 


=================================== 


まるまるアン社長からの視点でした。


異国に居るシヌはもちろんですが、テギョンさんのことも心配している社長。


病的な仕事ぶりを見るにつけ、何とか休みをと思っていました。


これまで耳を貸さないたテギョンさんの豹変を、単純に喜んでしまいます。


 


拍手[25回]

ROULETTE 26


ドア1枚隔てて聞こえてきた、信じられない話。


だがテギョンは、それを確かめずにその場から離れてしまった。


 


一旦車に戻ると、少しの間時間をつぶすことを考える。


「全く…なんでこのオレがこそこそしなければならないんだ?」


苦笑しつつ呟くと、いつもの海洋深層水を口に含む。


 


『ミニョに会う』


嬉しそうにジェルミは、話していた。


聞き間違いなんかでは、決してない。


そのために海外ロケのスケジュールも合わせると言っていた。


 


今どこにいるのか?


何故、ここに帰ってこないのか?


聞きたくても今のテギョンには、それが出来ないのである。


 


ミナムの前で、たった一人の妹を愚弄するような言葉を発してしまったからだ。


 


あの日…帰国予定の便に乗ってこなかったミニョ。


やっと会えると思って楽しみにしていたテギョンの落胆は大きかった。


落胆は怒りへ変わり、やがてミニョがわざと自分を避けたと思い込んでしまったのだ。


もちろんそう思うのは、数日前のミニョとの口論が原因だ。


 


かつてミナムの身代わりをしていたミニョを、事故多発地帯と揶揄していたのは


ほかならぬテギョン。


何かトラブルに巻き込まれた可能性を考えられる気持ちの余裕ができたのは、それから1週間近く経った頃だった。


 


だが…時はすでに遅かったのか?


改めてミニョから連絡が無いかと尋ねても、冷めた視線をテギョンに寄越す。


『どうぞご心配なく。それからミニョは当分戻ってこないから』


『あの時は悪かった…ついカッとして』


テギョンなりに誠意を持って謝罪しても、ミナムの態度は軟化しない。


 


『言葉ってさ重いよね…テギョンヒョンはさ…そうやって何度もミニョを傷つけてきたんじゃない?ミニョのことより自分の気持ちを優先したんでょ?』


図星を指されて、返す言葉もなかった。


自分の母親と双子達の過去を知ったときも、激情に任せてしまったことを思い出す。


あの時、一度はミニョを失いかけたのだ。


 


『オレさ、テギョンヒョンのこと音楽家としては尊敬してるよ…だけどさ…頼むからミニョのことはそうっとしておいて欲しいんだ』


搾り出すようなミナムの声。


ミニョと同じ顔から出るその言葉は、そのままミニョに責められているようで辛かった。


 


それからは、以前のように仕事に打ち込む日々。


あんなことがあっても、ミナムはプロだからグループ内に私情を決して持ち込んではいない。


それでも、余所余所しい空気はやっぱり伝わるもので。


二人の関係を必死でフォローしていたのが、ジェルミだった。


 


(そう言えば…まだミナムが加入する前もこんな感じだったな)


ふとテギョンは、過去に思いを馳せた。


シヌとテギョン…性格や育った環境も全く違う


互いに相容れない仲、ジェルミの明るさに救われていたのである。


 


(ジェルミ…)


誰にたいしても公平な態度は、年下なのに尊敬に値する。


 


そう思ったとき、テギョンの車を走らせ


AN企画へと向かったのだった。


 


再び宿舎に戻ったのは、翌日のこと。


 


「お帰りヒョン!!ひさしぶりぃ」


「ああ…ただいま…そうだこれ」


屈託の無い笑顔で迎えたジェルミに、紙袋を渡す。


 


「わぁ!お土産?開けていい?」


口では許可を取っているのに、手は既に包みを開けている。


 


「ミナムの分も入ってるからな」


「うん…わかっているよぅ」


テギョンの言葉に、ジェルミは渋々と9個入りのショコラを5:4で分けていたのだった。


 


「ジェルミは、昔から変わらないな?」


「え?少しは成長してるよ!」


心外とばかりに、ジェルミは口を尖らす。


 


「いや…いい意味で言ってるんだ。お前がいなければ…メンバー内の関係も良くないものになっていたと思う」


「オレはみんなが好きなんだよ。テギョンヒョンも、シヌヒョンも、ミナムも…それにミニョも…あっ」


テギョンの言葉が嬉しかったのか、ジェルミの表情はぱっと明るくなる。


だが、ミニョの名前を出した瞬間口を噤んでしまった。


 


「気にするな…お前はミニョと仲が良かったな。あいつのこと好きだったんだろう?」


わかりやすく態度に示していた頃を思い出す。


自分もこんな風に素直だったら…今の状況を招くことは無かっただろう。


 


「それに引き換えオレときたら…ミニョもこんなオレに嫌気がさして帰ってこないんだろうな。」そんなことないよ!!」


自嘲気味に呟いたテギョンに、ジェルミは激しく反応する。


だが、構わずテギョンは続ける。


 


「気を使わなくてもいい…あれっきりオレのところには連絡すらないんだからな」


「違うよ!!しないんじゃないできないんだよミニョは…」


絶えられないとばかりにジェルミは声を荒げるが、驚きの表情のテギョンを前に目をあわせようとしない。


 


「ジェルミ?何か知ってるのか?ミニョはどこにいるんだ?いや…居場所をいいたくないなら、それでもいい。だけど元気なのか?せめてそれだけでも知りたいんだ」


テギョンはジェルミの肩をぐっと掴むと、切羽詰った様子で迫る。


 


そんなテギョンを前にして、ジェルミはこれ以上は無理だと悟ったようだ。


 


そしてジェルミからミニョの状況を語られることになる。


向こうで事故に巻き込まれて重症を負ったこと。


 


「それで怪我はどうなんだ?後遺症とか?それよりどこの病院にいるんだ」


「大丈夫術後の経過は順調で、今はリハビリに励んでいるって。ごめん場所は言えないよ。ミナムと約束したから。」


辛そうに顔を歪めるジェルミ。


これ以上追求すると、自分とミナムの間で板ばさみになってしまう。


 


ミニョの話が聞けただけで、収穫はあったというものだ。


ふとテギョンにある思いがよぎる。


入院中のケアは、どうなっているのだろう?


たった一人のミナムがここにいるという事は、頼れるものはいないはずなのだ。


 


「あっそれはさ…ミナムの知り合いが偶然向こうにいて…ミニョのこと頼んでいるんだって…」


「知り合いって…どういう関係なんだ」


テギョンの疑問に答えたジェルミだが、知り合いというのが引っかかる。


 


だが、それ以上問いただすことは叶わなかった。


ミナムが、帰宅したからである。


 


二人の間で、交わされた短い挨拶。


 


「え?ヒョン帰って来た…どこか行くの?」


入れ替わりに部屋を出て行くテギョンを見て、ジェルミは心配そうに声を掛ける。


 


「ああ…社長のところへ…ちょっと用があるからな」


ミナムと入れ違うように、宿舎を出たのであった。


 




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テギョンさんのメインの話になりました。


いやあ安定の存在感でございます。


しかも、思った以上にキーが進む進む。(汗)


抑え気味にするのが、難しいくらいです。


ミナムとは蟠りがあるテギョンさんのターゲットはジェルミでした。


 


ジェルミは二人のヒョンのことを大切に思ってますからね…
でも、その発言によって大きく動くことになります。



 



 


 

拍手[26回]

ROULETTE 25

A.N.JELLの宿舎では


朝の情報番組の番宣に出演のため、ミナムはまだ日が昇ってないうちに起床した。


隣の部屋を覗くと、ジェルミはまだ夢の中らしい。


とりあえず先にシャワーを済ませてたのち、再びジェルミをやや乱暴に起こす。


それでも覚醒しきってない彼には、シャワールームに押し込み水攻めの洗礼を受けてもらう。


「もうっ何すんだよ…冷たい!!」


「漸く目が覚めたんじゃないか…良かった良かった」


ちょっとかわいそうだと思ったが、寝起きの悪さゆえ仕方がない。


 


キッチンへ戻ったミナムは、冷やしておいたアイスティーを一気飲み。


この間シヌにあったときに、もらったものである。


ミニョもお気に入りだと聞いて、飲んでみたくなったのだ。


 


ふと、テーブルにおいていた携帯が反応していることに気付く


 


『もしもし…オッパ?今電話しても大丈夫』


「ああ…平気だけど…どうしたんだ?そっちは夜中だろう?」


可愛い妹からの電話は嬉しいのだが、すぐに時差を計算してしまう。


入院しているミニョが起きている時間としては遅すぎるのだ。


 


「ごめんね…なんだか眠れなくて…そうしたらオッパの声が聞きたくなっちゃった」


『全く…そんな可愛いことこと言われたらオッパは強くいえないなぁ。』


異国で怪我をして記憶障害の妹。


信頼できるシヌが傍についているとはいえ、いつだって気にかけている。


一番気になっている体調のことを尋ねると、リハビリは順調に進んでいるらしい。


 


『あとね…ホームパーティに誘われたんだ』


「そうか…良かったな?楽しんで来いよ」


シヌの共演者達と、内々で行うという。


ずっと病院にいたミニョにとって、気分転換になるはずだ。


 


その後もお互いの近況を話していたのだが…


やがてミニョが何かを言いかけては、やめることに気付いてしまう。


「ミニョ、困っていることがあればオッパに話してみろよ」


『うん…困ってるってことじゃないけど…ちょっと聞きたいの…今日ねシヌオッパが私の頭を撫でてくれたんだ…でね?その感触がなんだかすごく懐かしくて…以前も良くあったのかなって…ちょっと思って』


 


ミニョの質問に、ミナムは少々困惑してしまう。


ミナムが晴れてグループの一員となったとき、ミニョはテギョンの恋人になっていた。


そしてすぐに、海外ボランティアに参加。


シヌがミニョに思いを寄せていることはすぐに気付いたが、二人が一緒の姿をあまり見ることはなかったからである。


 


「オレは見たこと無いけど…二人きりのときだけだったとか?何かひっかかるのか?」


『ううん…そういうわけじゃないけど…あ…なんだか眠くなっちゃった…じゃオッパも仕事がんばって。あとか風邪引かないようにね。それからジェルミさんにもよろしく伝えて』


「うん…じゃあ、いつでも掛けてこいよ。オッパも掛けるから」


通話を終えたあとも、しばらく手元の携帯をじっと眺めるミナム。


やがて…シャワーを終えたジェルミが戻ってきた。


 


「ああ…スッキリしたぁ」


「そうか…ジェルミも飲むか?」


ミナムがアイスティーを指差す


 


「うん…ガムシロップ3個入れてね」


「うぇ…甘すぎんだろう?」


甘党のミナムでも引くほどだが、ジェルミは美味しそうにごくごく飲んでいる。


きっとジェルミとっては、あれが普通の味なんだろうと思うのだ。


 


「じゃ…髪やってくる」


殆ど毎日髪型を変えるジェルミは、今日はどのスタイルで行くか傍で見ているのも楽しみである。


 


「あっそうだ…ミニョが電話でよろしくってさ」


「えー!!ミニョが?電話きたの?いつ?」


ミニョからの伝言を伝えただけなのに、いきなりの質問攻め。


つい今しがたと伝えると、今度は何故そのときに教えてくれないかと拗ねられてしまう。


ジェルミもミニョと話しをしたかったというのだ。


だが…面と向かってならともかく、電話はまだ難しいということを伝えるとジェルミも察してくれたようだ。


 


「ところでさ…ミニョってここでオレの身代わりをしていたときなんだけど、たまにシヌヒョンに頭をなでられていたことってあった?」


「はっ何言ってるの?」


不意に投げかけた質問に、ジェルミは信じられないといった反応をする。


 


(ミニョの思い違いか?)


だが、ジェルミのそれは真逆の理由であった。


 


「たまにじゃなくて、ほとんど毎日だよ。ううんそれどころか1日に何回も。


オレ…ほら前にいったじゃない?シヌヒョンがあんまり優しいから嫉妬したって…」


ジェルから聞いた事実に、ミナムは驚いてしまう。


テギョンの手前控えていた行為は理解できたが、今の状況でなら自然と出るはずなのだ。


それなのに、ミニョは今日始めて撫でられたという。


 


(わざと?)


一瞬考え込むミナムを、ジェルミは怪訝そうに覗き込んだ


「ねぇ…それがどうしたんだよ?」


「あっいや…その…そうだ!!ミニョがシヌヒョンのドラマの共演者達とパーティをするってさ」


ジェルミの追求を誤魔化すため話題を変えたると、思いのほか食いついてきた。


日程の詳細を聞かれたが、残念ながらそこまでは聞いていない。


 


「もうっなんで聞いてないんだよ。あの生意気な奴も参加するんだろう?


オレもパーティー行きたい!!ねぇもう一回ミニョに電話してよ」


「無茶言うなよ。もう寝てるって!!それにオレ達にそんな時間あるわけないだろう?スケジュール詰まってんだからな…おいジェルミなにやって」


駄々っ子発言呆れるミナムを尻目に、なぜかジェルミは電話を手に持っている。


 


「あっもしもしシヌヒョン?今大丈夫?え?うん元気だよ…だけどねシヌヒョンがいないとすっごく寂しいよ。」


自然に甘えた声でシヌと話すジェルミ。


こういう部分は、まだミナムには真似できない。


そして、ジェルミの電話の目的はといえば…


 


「ところでさーパーティするんだってね。え?何で知ってるって?ヘヘなんででしょう?


うん…バレちゃった?でね、いつやるの?分かったまた電話するからじゃあね!!」


「全く…わざわざシヌヒョンに聞くことじゃないだろう?行けるはずもないんだから」


パーティ好きのジェルミに、ミナムは閉口する。


 


「それがそうでもないんだなーこの前のミナムとのロケが結構好評で第2弾があるっていわれたんだ。まだはっきり日にち決まってないから、パーティにあわせてもらうんだもん」


「はっ第2弾だって?…聞いてないぞ…それに運よく日程が合ったとしても、行けるかどうかわかんないだからな?」


あの番組はジェルミがメインだから多少は融通がきくのかもしれないが、こっちの都合だって聞いてほしいとミナムは心の中でぼやく。


しかも、誘われてもいないパーティのためだ。


 


「大丈夫だよ。オレとシヌヒョンの中だし、ミナムはミニョの兄さんだろう?それに絶対オレがいたほうが盛り上がるもん。」


「はぁ…おまえなぁ…そのポジティブ発言は、ほんと尊敬するよ」


自信満々なジェルミに、ミナムは溜息しかでない


 


「なんとでも。ああミニョに会えて一緒にパーティも出来るなんて楽しみだー」


小さな子供のように目をキラキラさせるジェルミ。


おそらくジェルミの願いは叶うのだろうと、ミナムは苦笑していた。


 


だが…早朝二人きりだと思っていた宿舎の中


ジェルミのテンションにあわせてミナムもつい声が大きくなっていることに気付かなかったのは仕方がなかったのかもしれない


 


ドアの向こう側で


海外の仕事から1日早く帰宅したテギョンが


この話しを聞いていたことを


 


(ミニョだって…どういうことなんだ!?)



==========================================================================


これまでは、ミナムの回想シーンの中での出演だったテギョンさん。


ついに本格的に登場となりました。


シヌミニョにとって最大の壁になるのですが、彼が出ないと盛り上がりません。


ここから、どう絡んでゆくかは…いつもの如くのノープランです。


 


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ROULETTE 24

それから1ヶ月が過ぎた


ドラマは予想以上に好評を博し、どうやらシーズン2の噂も出ているらしい。


当然シヌにも引き続きオファーがあることを社長へと早速相談した


 


『…そう…そうか…良かったな!!』


久しぶりに聞いた電話の向こうの社長の声は、普段よりもトーンが落ちているように感じたのは気のせいだろうか?


 


「ただその場合、グループへの復帰が遅れるかもしれません」


シヌにとっては最大の懸念事項なのである。


 


『お前がそのつもりなら、ノープロブレムだ。こっちはなんとかなるんだからな


それにそっちでより評価が上がれば、今度は単独主演も夢じゃない。結果的にはわが社としてもBIGNAMEが手に入るんだ


電話の向こうのハイテンションで話すアン社長に苦笑しながらも、通話を終えたシヌ


 


演技の世界に思った以上にのめりこんでいる自分に驚く。


TOP俳優のアレクの演技は、大いに刺激になる。


 


何よりも、熱心なファンと公言するミニョ。


たとえ縁者としてだけのシヌでも、全く素通りされていたあの頃を思えば幸せである。


もちろんカン・シヌ個人へ目を向けてくれることが、何よりだが。


 


「贅沢な願いだな」


自嘲気味に呟くシヌの声は、例によってにぎやかな訪問者遮られた。


 


「シヌ居る?」


すでにどっちが自分の部屋かわからないくらいに、我が物顔でこの部屋を訪れるカイルである。なんだかんが言いつつこの状況をシヌも楽しんでいるのだ。


 


「あのさーリタからの提案なんだけど…」


カイルによると、4人全員そろうロケのオフがあるという。


その日を使ってホームパーティを希望しているのだ。


 


「でねっ?ミニョも来てほしいなって。出るよね?1日くらいなら外出許可も


「ああ…けど…ゲストが多いなら、ミニョが疲れないかな?


外出することは気分転換には良いだろうが、人見知りのミニョの事を気にしてしまうのだ。


 


「ああっそれなら、問題ない。オレ4達とミニョだけだから」


「え?オレ達だけって本当か?」


自信たっぷりに応えるカイルに、シヌは思わず聞き返してしまう。


 


「うん…本音は単にミニョを自宅に招待したいんだよ。ガールズトークっていうやつ?してみたいんだって…でもミニョのことだから遠慮するかもしれないだろう?


それなら、オレ達も一緒ってことで…はっきり言って男達はオマケってわけーそれなのに話しを付けろってお達しがあって。しかもシヌに直接言わずにオレを仲介させてさー酷くない?うううっ」


泣き真似はやや大げさと思いつつもリタに強く言われたのは、間違いないだろう。


 


「分かった…撮影の前にちょっと寄ってみる」


「そう?頑張ってね」


てっきり着いて来るかと思ったが、違ったようだ


 


病棟へ向かい、挨拶をしてからミニョの病室へ向かった。


ノックをすると、少し慌てたミニョの声と何かを片付ける音


 


「あっシヌオッパ!お早うございます。」


「ごめんね?食事中だったんだろう?気にしないで食べて」


サイドテーブルの上のトレイには、まだ食べ終えてない食器が見える。


 


「いえ…もうお腹いっぱいなので」


「ダメだよ…しっかり食べないと…そうだ終わったらお茶入れてあげるから」


気を使うであろうミニョを優しく諭すと、残りの食材に口を付け始めた。


最も、残っていたのは僅かだからあっというまに完食できたのだが。


 


そして…


「シヌオッパ…終わりましたよ!!」


「ん…良い子だ」


得意げなミニョを見て、思わず手が頭に伸びてしまう。


フワフワとしたミニョの髪の感触は相変わらずだった。


 


「え?」


「ごめん…つい」


頭を撫でられたミニョは、戸惑ったのかもしれない。


実際再会してからこの行為をするのは、初めてなのだ。


ミナム時代は、数え切れないほどだったが…


 


「シヌオッパ…」


「あっ!!そうだ…実は、ミニョにお願いしたいことがあったんだけど」


誤魔化すように話題を変えたシヌは、早朝の訪問目的を話し始める。


 


「お誘いは嬉しいですが…私なんかが行けば迷惑がかかりますから」


「そんなことないよ。心配しないで」


予想通り固辞をしようとするミニョ。


リタの話をしても、首を縦には振らないのだ。


控えめな性格に加えて、生来の頑固さも併せ持っているので一筋縄ではいかない。


 


(なかなか手ごわいお姫様だな)


どうやって説得しようかと考えあぐねていたときだった。


 


「あ~あ…もう何やってるんだよ」


ノックと同時に入ってきたのは、カイル。


 


「え?お前用があったんじゃないのか?」


「ないよ。一応気を利かせて時間差にしたんだからね!!でもちょっと気になって早めに来たんだもん。そしたら…もう…オレが説得するから」


「え?カイルがどうやって?」


彼が韓国語を流暢に話せることを知らないので、戸惑いは隠せない。


 


「良いから任せてよ要はハートなんだから」


そういって、強引に食器を片付けに行くように指示されてしまう。


 


果たして…結果は


10分後シヌが病室へと戻ってくると、カイルが大きな丸のジェスチャーをする。


 


「え?本当にか?どうやって?」


「んとね…『オネガイシマス』と『コノトオリ』を連呼した」


ペロッと舌を出すカイル。


 


「全く…それは説得って言わないだろう?」


「良いじゃない?結果オーライだし。じゃオレ先に行くよ。リタに教えてあげなくっちゃね!!」


カイルは弾んだ声で、病室を後にしたのであった。


 


「あの…本当に私なんかが行って…良いのですか?」


「もちろんだよ。オレがずっと傍についているから心配しないで」


尚も不安げにこちらを見つめるミニョを優しく見つめるシヌ。


 


その潤んだ瞳に吸い寄せられるように、ゆっくりと顔を近づけてゆくのだが


 


 


「あっ…忘れてた!!お茶いれないとね」


ぱっと身体を反転させると、湯沸しポットのスイッチを入れて用意をし始めるシヌ。


ミニョの僅かだが落胆している表情を、気付くことは無かったのだった。


 


「リハビリの方は、順調かい?」


「はい…何とか…頑張ってます」


やっぱり気になるのが、この話題だ。


ミニョのリハビリに立ち会えたのは、一度だけなのである。


自分の目で確かめたいと思うが、タイミングが合わない。


 


(パーティー…本当に大丈夫なのか)


ミニョに関してはのシヌは、過保護なくらい心配が募るのである。


 


一方…


 


一足早く病室を出たカイルはロケ現場でリタを見つけると、


開口一番ミニョの返事を伝えた。


 


「へぇ…やるじゃないメッセンジャーBOY。思ったより使えるのね?」


「もうっもっと他に言い方あるだろう」


素直に感謝の言葉を言わないのは、リタらしい。


 


「全く…さっきまでそわそわしてたくせに…良かったな」


「なっ何よ…全然心配なんかしてなかったわよ」


恋人のアレクには、案の定筒抜けである。


顔を赤くして否定しても、余り意味はない。


 


(こっちの二人は、問題ないね)


相変わらずの仲の良いところを、カイルは楽しそうにみつめていた。


 


 


しばらくしてシヌもロケ場所に現れると、アレクは真っ先に駆け寄った。


 


「ありがとな…リタの頼みを聞いてもらってさ…」


「いや…オレは何もしてない。結局のところミニョにYESと言わせたのは、カイルなんだ」


改まって礼を言われてしまい、シヌはとっさに否定する。


 


「ああ…そんなこと黙っていればいいのに…本当に正直だねシヌは」


 


少しだけきまりの悪い顔をしたカイルだが、なぜか大きく息を吸うと


 


「今日も1日ふぁいてぃーん」



と、一際大きな声をあげたのであった。

====================================================================
シヌとミニョちゃんの穏やかなひと時です。



ミニョちゃんをパーティに呼びたいリタさん。



あれ?言葉の壁はと思われるかもしれませんが?そこは何とかなるでしょう。



優しいけど押しが弱いシヌのことをお見通しだったカイル君。



見事ミニョちゃんを口説き落としました。



今回の記憶喪失編ですが、これまであえて封印してきた頭ナデナデがやっと出てきました。



いやあ長かったです。

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ROULETTE 23

 「これって、すごい人気で日本国内でも品薄状態だよ。おまけに本来国内限定なんだけど…輸送コストもあるしね。」
カイルからの話は続く。リタは費用はいくらかかっても構わないといった。
だが…なぜそんなに…高級いちごならこの国にもあるはず。

「リタはさ、この苺の名前が気に入ったみたいだよ。『甘姫』っていうんだけどさ
SWEET PRINCESS のことじゃない?。ミニョのイメージにぴったりだってだから…」
「カイル!!おしゃべりな男は嫌われるわよ!!」
徐々に顔を赤らめてゆくリタ。

「もう素直じゃないな!!ツンデレ女王様♪」
「いい加減にしないとぶつわよ!!」
二人のやり取りは、まるで姉と弟の兄弟げんかのように見える。
おろおろしながら見ているミニョに、大丈夫だと教えてあげた。

「撮影が終わって、これ受け取りに行ってきたところ。オレ一人でも良かったけど
リタがこの目で確かめたいからって…ね」
「それを聞いたときは俺も驚いたんだ。お嬢様気質で人任せだったリタが自分で動くというのはめったにないからね。だから受け取ってやって欲しいんだ」
カイルの言葉を受けて、アレクが続ける。

「そうか…ミニョ…あのね」
事情を知ったシヌが再びミニョに話すと、少し涙ぐみながら頷いていた。

その後、リタに促されたミニョが苺をパクリ。
途端に、幸せそうな笑顔がこぼれた

「甘くて、すっごく美味しいです!皆さんも食べてください!」
「やったー実は食べたかったんだー」
ミニョの言葉に真っ先に食いつたカイルは、箱の苺に手を伸ばす早業を見せてくれた。
「本当に、甘くてとろけそうだよ♪」
「もうっアンタって子は…」
ミニョと同じような笑顔を浮かべるカイルに、リタは呆れつつも苺を一つ掴む。

「まっまあ…悪くないわ。この私の手を煩わせたんですから美味しくなかったら許せないけどね」
「それは良かった…リタに貶されないだけ光栄な苺だな…」
いまひとつ素直じゃないリタと、そんな彼女を愛しそうに見つめるアレク。

「リタさん、本当にこんなに美味しい苺をありがとうございます」
その後ミニョからリタへ感謝の言葉が告げられたが、リタは何故か少し不機嫌な顔をする。

「オンニ」
「え?」
小さく呟いたリタの言葉が聞こえなかったのか、思わず聞き返すミニョ。
「だから…オンニって呼んでも良いわよって言ったの!!」
少し大声でいったあと、恥ずかしそうに顔を逸らすリタ。

「あの…えっと」
「ミニョ…リタはね…きっとミニョのような可愛い妹が欲しかったと思うんだ…だから呼んであげようか」
シヌの言葉に頷いたミニョ。

「リタオンニ…ありがとうございます」
「そうよ…今日から妹にしてあげるわ♪」
ミニョをぎゅぅっと抱きしめるリタ。

(やれやれレ…ライバルが増えたかもな)
シヌは、苦笑するしかなかった。
=========================================
頑張り屋のミニョちゃんが、心配でたまらないシヌ。
それにミニョちゃんにはなにやら秘密が?気が気じゃないのかもしれません。
そんなときにふと思い出したのは、あの方(傍にいなくてもやっぱりその存在の大きさを痛感してます)
そして、やって来たアレク&リタ。
お詫びのプレミアム苺を持参したリタは、素直じゃない女王様でした。
だけど、あまりに可愛いミニョちゃんにすっかりメロメロですね。

拍手[31回]

ROULETTE 22

「悪い、ちょっと訳あり…ほら?いつまでもそこにいないで早く来い」

アレクの呼びかけに、入ってきたのはリタである。
つかつかと入ってきたと思ったら、ミニョの前で立ち止まった。

「ミアネ…」
「え?」
リタの口から出た謝罪の言葉…ましてや韓国語だったため…ミニョは目を丸くさせている。

「おいっリタ。単刀直入すぎるだろう?シヌ。この間の事でリタが謝っていることを彼女に伝えてくれないか?」
「この間のことって…ああ」
帰りの車の中でケンカをして一人車を降りたリタが、ここへやってきてシヌに絡んだ日のことらしい。
そのことをミニョに伝えると、自分のほうこそ折角きてもらったのに
挨拶もしないで申訳ないということを、自分の口で伝えたいと言ってきたので
ベッドの端にあったメモ用紙ととると、さらさらとペンを走らせる。

「疲れているからと、失礼な態度をとってしまってごめんなさい」
「もうっそんなこといわれると、困るじゃない。はいっこれオミマイ」
ミニョに紙袋を押し付けたリタは、目で開けるように合図をする。
紙袋から丁寧に箱を取り出したミニョが静かに蓋を開けると、あっと声をあげた。
そこには、一粒がかなりの大きさの苺。
察するにかなり高価だろう・・・

当然ミニョも、動揺している。
「あの…」
「あら?イチゴ嫌い」
ミニョのリアクションがリタには少し不満だったのかもしれない。
だがミニョは大きく首を横に振ると、シヌに視線を寄越してきた。
「シヌオッパ…こんな高そうなものをお見舞いだなんて申訳なさすぎです」
つつましいミニョならではの言葉。
そのままリタに伝えると、ひどくがっかりした様子だ。

「それじゃ困るよ!!日本の親戚に無理言って取り寄せたんだからね」
そういって病室にやってきたのは、カイルである。
「日本て…リタどういうことなんだ?」
「それは…」オレが説明する。」
リタの話を遮ったアレクが、話し始めた。
自分とけんかをしたリタが、憂さ晴らしのような言動をここでしたことを
後でひどく後悔をしたらしい。
後日改めて病室を訪ねたいと思った時、お詫びを兼ねてミニョの好きそうなものを
見舞いの品として考えていたが、シヌにはここで怒られたので聞きづらかったといわれ
てしまった。
そんな時、ミニョの病室を頻繁に訪れているカイルからミニョがスイーツ好きという事を聞きつけ、このいちごを頼んだという話しだった。
 

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ROULETTE 21

それからもミニョは、以前にもましてリハビリに励むようになった。
だが、そのメニューはシヌの想像よりはるかにハードになっているのだ。
あせらずにゆっくりで良いと声を掛けるが、ミニョは小さく笑って首を横に振る。
“心配しないで、シヌオッパ!!1日も早く自分だけで動けるようになりたいの”
素直だが頑固なミニョだから、言い出したら聞かない。

この日はロケが予定より早く終わり、そのまま病室へ向かうとミニョは不在だった。
「あら?こんにちは。今はリハビリ中ですよ。あと15分ほどで、戻ってくると思います」
シヌに気付いたのは、ミニョの担当の看護師である。
いい機会だ。ミニョの様子をそれとなく彼女に聞いてみる事にした。

「このところ、リハビリをがんばりすぎているんじゃないかと思うんですが」
「大丈夫ですよ。患者さんそれぞれに合わせたメニューです。ただミニョさんには、がんばりたい特別の理由があるようですけど?」
シヌに心配を一蹴した看護師は、思わせぶりの言葉を残してその場を離れた。

(特別な理由…?)
シヌには全く検討も付かないが、医療のプロからの言葉を聞いて少しは安心できたようだ。

しばらくすると、カタカタと車椅子の音が聞こえてきた。

ガラガラと扉を開ける音に続いて、入ってきたミニョ。

「リハビリお疲れ様ミニョ」
「シヌオッパ…いらしてたんですね?ごめんなさい待たせてしまいましたか?」
シヌの姿を見るなり、申訳なさげな表情のミニョ。
「いや・・少し前に来たばかりなんだ。撮影が予定より早くおわったからね。それよりもそんな風に俺に謝らなくても良いからね。前から何度も言ってるけど俺がミニョの顔を見たくて勝手にここに来てるんだから。それに待っている間ミニョが頑張っているんだなあって想像してたし。ねっ?」
「はい…シヌオッパ」
シヌの言葉に、今度ははにかんだ顔を見せてくれるミニョ。
そういえばぎこちなかったオッパ呼びは、かなりスムーズになって来ている。
シヌ自身も、この呼ばれ方に馴染んでいるようだ。

先刻看護士にいわれてはいたが、やっぱりミニョの身体が気がかりだ。
辛くないかと尋ねると、始めのころより体力が付いてきたという。
確かにミニョの頑張りは、ミナム時代に証明済みである。

「わかった…だけど絶対に無理しちゃダメだ。いいね」
「はいっシヌオッパ」
頬にそっと触れると、コクコクと頷くミニョ。
本当は、ミニョが頑張る理由を聞きたかった…
だけど、ミニョの全てを知りたいなどと言うのは思い上がりも甚だしい。
(あいつなら…有無を言わさず聞き出そうとするんだろうな)
自分には決して真似のできない横暴ともいえる行為が、許されていた男。
本当は羨ましくて仕方なかったのかもしれない。

「オッパ…シヌオッパ?どうなさったんですか」
「あ…ごめんごめん!!ちょっとぼうっとした」
病人のミニョに気を煩わせることがあってはいけない。
シヌは普段どおりの優しい微笑をミニョへと向けたのだった。

それから程なくして…
近づく複数の足音…
ミナムとジェルミかと思っていたのだが…

『あっあの…こっこちらです!!』
ミニョの担当の看護師の声が聞こえてきた。普段の声よりゆうにオクターブは高い。
だがその理由は、すぐにわかった。

「やぁ…」

ノックに続いて…やってきたのはアレクだ。
病室へ案内してくれた看護士にお礼を伝えると、彼女は真っ赤な顔をして立ち去った。
どうやらアレクの大ファンだというのは、本当らしい。

「あの…」
ミニョは突然現れた、カイルに緊張の色が隠せないようだ。
元来人見知りなのだから、無理もない。
「ミニョ…顔は知ってるよな?ドラマの共演者で主演の…」
「その先は俺から自己紹介させてくれよシヌ。初めましてアレク・J・フリードです」
シヌを遮ったアレクは、ミニョのベッドに近づくとその場で屈んでいる。
長身のカイルだから、ミニョを威圧しないようにと目線の高さを合わせた配慮なのかもしれない。
もちろんその存在感は、さほど変わらないようだが


「はっ初めまして…コ・ミニョです」
簡単な挨拶程度なら、話せるミニョ。
「アレク…来るなら言ってくれれば一緒に来たのに」
撮影のときは一言も言ってなかったアレクに、思わず苦言を呈してしまった。

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