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NEW YEARS DAY 最終話


そして迎えたアンコール。


「Hey!!シヌ」
突然ステージからロンが叫ぶと、辺りはざわめきだした。
シヌが参加していたKEIFFRのライブは、早くも伝説になりつつあるのだから。


ステージに上がったシヌとがっちりと握手を交わすロン。


「今夜は、新年のお祝いだから特別にシヌにも参加してもらう!」


曲は“NEW YEARS DAY ”
ロンの父が若い頃良く聞いていた曲で、ロンも物心ついたときから耳に馴染んでいたものだった。


シヌとハルカのドラマティックな、ツインギターで始まり。
ロンが歌いだすと、オリジナルとはまた違ったパワフルなボーカルに招待客たちは、圧倒されている。


この存在感は、選ばれたものでしか出せないものだ。
若き後継者として、誰もが認めた瞬間だった。


そして・・・歌い終わったロンがマイクを掴むと


「ハルカ・・・」
手招きをして、隣に立たせる。


「紹介します。NEW GITARISTのハルカ・T・ローゼンフィールドです!!」
重大発表に、場内のだれよりも驚いていたのはハルカ本人である


「え!!ウソだろう!?」
とても信じられなくて、本音がでてしまった。


「バカ!!エイプリールじゃあるまいし、こんなうそ言わないぞ」
ハルカの反応に呆れるロン


「ほんとうに・・・ほんとうなの・・・か」
感極まって上手く言葉にならない。
そして更にハルカにはサプライズが待っていた。


ステージ上に上がってきたA.N.JELLのメンバー達が、いきなり歌いだしたのだ。
「HAPPY BIRTH DAY」を・・・


そう1月1日は、ハルカの誕生日。
感激しすぎて、そのときの記憶はハルカには曖昧だった。


そして全てのステージが終わったあと、放心状態のハルカの背中が思い切り叩かれる。


「おい・・・いつまでぼうっとしている。さっさと片付けろ」

「はっはい・・・ロンさん」
慌てて返事をするハルカ。
だが、何故かロンは少し険しい表情をしている。


「もう・・ロンでいいぞ・・・仲間だからな」
照れくさそうにつぶやくロン。


「う・・・うん・・分かった・・ロン!!」
溢れる涙を拭おうともせずに、率先して片づけを始めるハルカ。


「良かったですねハルカさん・・・」
そう言って安堵の表情をみせるのは、ミニョ。


そんなミニョを見つめながら、シヌはロンとの会話を思い出していた。


『あいつがそんなに風に思ってたなんて、知らなかったよ』
本当はもっと早くから正式メンバーにしようと思っていたらしい。
だが・・・その前にハルカのプレイをシヌに見せたかったのだ。


その上で向こうでの新メンバーの発表の予定だったこと。
『まぁ・・誕生日のサプライズでもいいか・・・』
そう言っていたずらを仕掛ける子供のような表情をしていたのだ。


「やっと・・・悪い虫たちから奪取できた」
ふぅっと大きく息を吐くと、後ろから抱きしめるシヌ。


「悪い虫って・・シヌヒョンたら」
シヌの拘束から逃れようとするミニョだが、余計に力を込められてしまう。


「うん・・この甘い匂いに誘われてやってくるんだよな・・・」
はらりとショールを落すと、剥き出しの項に口づけた。


そしてミニョを軽々と抱き上げると、VIP用のエレベーターへと進んだ。


「あ・・の・・オッパは?それに皆さんは?」
シヌの腕の中でじたばたしながら、訊いてくるミニョ。


「ミニョ・・・オレ以外の男の話しはダメ!!ああ・・ミナムたちはロンに誘われてハルカの誕生日を祝うんだって。ようやく公的にアルコールが許可されたからきっと朝まで飲んでるだろうな」
酒に強い奴らに囲まれてつぶれないかと、ちょっと心配になる。


だが・・すぐに慣れるだろう。


「じゃ・・私たちも・・・」
この期に及んでまだそんな事を言うミニョ。
だから、煩い口をふさいでしまった。


最初は形ばかりの抵抗を見せるミニョだが、すぐにうっとりとした表情になる。


そしてついた部屋は、最上階のスィート。


『完全防音だから、思う存分啼かせて良いからな』
ステージが終わったあと、ロンに耳打ちをされた。


(全く有難た過ぎる好意だ。受け取っておくよ、ロン)


結局・・・一晩中シヌのために啼かされたミニョ。
翌日風邪をひいて声が出ないという話は、誰一人として信用してなかったに違いない。


マスクをしてソファに座っているミニョのところにロンがやってきた。


「ミニョちゃん・・・ごめんね?オレが煽ったみたいでさ」
口では謝っているが、ロンの様子に反省などかけらも見えない。


「もう・・酷いですぅロンさんたら!」
マスク越しに抗議の言葉を訴えるミニョを見て、さすがにばつが悪い表情を浮かべるロン。


「でも・・・あいつがあんなふうになるのはミニョちゃんだけだよ・・・」
「はい・・・分かってます」
気持ちを通じ合ってから随分たつのに、溺愛ぶりは過熱する一方だ。


「ほら・・・噂をすれば」
心配そうな顔でやってきたのはシヌ。
部屋を出てからなかなか戻ってこないので、様子を見に来たのだ。


「お姫様の機嫌が治ると良いな。」
シヌの肩に手を置いて、通り過ぎてしまう。


「ミニョ・・・」
「知りません・・・」
隣に座ったシヌと思い切り距離をとり、プイッと横を向くミニョ。


「ごめん・・・機嫌直して」
「治りません・・・」
一度怒るとけっこう頑固なミニョ。


結局機嫌を直す方法はただ一つしかないのかと、額に手を充てる。


「本当にごめん・・・その代わりこれ」
そう言ってミニョの前に差し出したのは、このホテルのスイーツビュッフェのパスポートチケット。


途端にミニョの目が輝きだした。


「わぁ!!美味しそう・・・ですね」
「うん・・ロンからだって・・・こればあれば優先的に食べられるらしいよ」
流石にスイーツの威力は絶大だ。さっきまでの頑なな態度は懐柔されている。


「あ・・でも・・わたし・・ダイエットが」
シヌの言いつけどおり、昨日のパーティでもスイーツは殆ど口にしなかったミニョ。
素直なミニョは、余計に愛しいのだ。


「パーティが無事に済んだから、ダイエットはお終い。よく頑張ったね」
ふわりと頭を撫でると、ミニョは嬉しそうにシヌを見る。


「ありがとうございます。じゃあジェルミに言わなくちゃ!!」
「えっ何でジェルミ?」
二人きりで一緒に行く気満々だったシヌは、 出端を挫かれてしまう。


「だって・・この間せっかく誘ってくれたのに行けなかったから」
電話越しのジェルミのハイテンションな声が響く。


5分後・・・何故かハルカをつれてやってきたジェルミ。


「ハルカも甘党なんだって!!良いよねシヌヒョン?オレと二人よりは」
ジェルミにまで見透かされたシヌは、何もいう事が出来ない。


じゃれあう3人を見ながら、自分の最大のライバルはスイーツなのかもしれないと思う。
そして今夜は、更に甘い匂いのミニョを抱くことになるだろう。


「しっかりカロリーを消費すれば、いくらでも食べていいからね」
そう呟くシヌの目の奥が、すこしだけ妖しく光っていた。
                            
                                                                                                           fin

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