忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Little Wing 3



人間というのは、あまりの予想外のことになると身体が硬直するらしい。

外に飛び出したのに、一歩が踏み出せないままで居た…


「よおっそっちが先に着いてたのか?」
その言葉でようやく我にかえる。

「ロン・・おい!!ロンなんでお前がいるんだよ!!…それに」
ロンがエスコートしている(ようにシヌには見えた)最愛の恋人に視線を移し、言葉を繋げる。


「それに!!ミニョ一緒なのも説明しろよ!!」
普段のシヌからは考えられないような大声。


「あっ…あの私」
ミニョはその声に驚いて言葉を失ってしまう。


「おいおい…いつもの優しいシヌヒョォーンはどうしたんだ?ミニョちゃんびっくりしてるだろう。余裕なさすぎっだっつーの」
ロンは、大げさにため息をつきながらシヌを見ている。

「ごめんなさい…やっぱり私…来てしまって迷惑だったんですよね…かえり」
いつになってもミニョの涙には弱いシヌは、少し冷静さを取り戻した
宥めるようにミニョの頭を撫で始めると
出来るだけ優しく、ロンとこの場所に来たことを問いかける


「えっだって…シヌヒョンには伝えたって…」
ミニョから語られた今回のいきさつを聞きながら、シヌの表情はめまぐるしく変化していった。


「アッハハハ!!やっぱりその顔サイコー!!」
おなかを抱えて大笑いするロン。


「ロン…ったくお前って奴は…いい加減オレで遊ぶのやめろよ。それに対談て何の冗談だ!!意味わからないだろう」
怒りながら、シヌは脱力感でいっぱいになった。


「はっ?オレはいたって真剣だぞー名前を明かさなかったけど前途有望な美貌の若手実業家って言うのはあってるしー」
何を言っても、この男には通じないだろう。

恥ずかしげもなく美貌のと言い切るロン。
相変わらずの自信家である。

「テギョンからは、若手実業家としか聞いてないけどな!!」
「何だ!あいつ使えない奴だな!肝心なところを伝えてないとは!!」
シヌの皮肉にも、ロンは全く動じることはない。


「はぁ~…相変わらずだな…もういいよ」
「そんな顔するなって!!いつものシヌヒョンSMILE PLEASE!」
最早突っ込む気も起きないシヌを宥めるロンだが…不意にあっと声を上げてミニョを見た。


シヌを驚かすためとはいえ、ミニョも半分騙すことになってしまったことを
素直に謝るロン。
いつものおふざけではなく、真摯な態度にシヌは苦笑するしかない。


「もうっロンさんたら…またまた驚いちゃいましたよ」
そういって笑って許すミニョ。
自分以外に笑いかけるのを見るのは、相手が誰であろうと複雑な気持ちになる。


「ミニョ…喉かわいただろう?お茶入れてやるよ」
その言葉に、ミニョはすぐに反応してこちらを向いてくれる。
ロン相手に嫉妬してるなんで気づかれたら、カッコ悪すぎるから。


「あっ私も手伝います」
すぐに反応してこちらに来てくれるミニョ。
二人きりなら、思いっきりキスしたいくらいに可愛い。


「しぬひょぉぉん…オレにも美味しいお茶入れてね♪」
こちらを見ながらニヤニヤするロンの存在は一瞬忘れそうになっていたが。


お茶の後、改めてロンに尋ねてみた。
対談をするのは良いとして…日本にまで連れてきた真意を…
キーファーグループが提携しているホテルは、国内にいくらでもあるし
ロンが自由に使える済州島ホテルだってあるのだ。


「ああっオレも最初はそのつもりだったけど…場所を提供してくれるっていう親切な奴が居てさ…ああ良いぞ入って来ても」
ロンの言葉に続いて聞こえてきたドアが開く音。

思わず注目すると…

「もう…呼ぶの遅いよロン!忘れられたと思ったじゃないか」
不満そうな顔をしながら、入ってきたのは…


「ハルカ!!」
シヌの後任としてKEIFERのギタリストになったハルカが立っていたのだ。


「お久しぶりです…シヌさん!そしてミニョさんも」
済州島での初対面のときは敵意丸出しだったが、いまは全くその影はない。


「ああ…元気そうだな」
ロンに続いてハルカまで現れたため、頭の中で必死に整理しながら考えていると…
ロンがシヌの頭を軽く小突いた。


「痛いだろう!!何するんだよ?」
「聞きたいことがあるなら、悩まずに聞けよ。まったく何年たっても変わらないんだな」
相変わらずこの男には、自分の考えが筒抜けのようだ。


仕方がないから、ここは素直に言うことを聞くことにした。

シヌとの対談をロンが考えたとき、当初は済州島ホテルを使用する予定だったらしい。

「ロンてば、オレに気を使って許可を取ろうとするんだよね」
「余計なことは言うな…!!」
話の途中で口を挟んできたのはハルカとそれを諌めるロン

そのやり取りが至極自然で…二人の関係がうまく言っているのは良くわかった。

「二人の対談をイメージしたときにさ、ホテルの一室じゃなくて普通の家で談笑している構図が浮かんできたから…カナタニィに頼んでここを用意してもらったって言うわけ」

「カナタニィってもしかして…」
シヌを空港からここまで送ってきてくれた人物と同じ名前である。


「うん…オレの従兄だよ…けっこう似てるって言われるんだけどね」
ハルカの言葉を受けてカナタの顔を思い浮かべると、なるほど初対面なのに
既視感があったのは、そのためだったと納得した。

昔から自分のわがままをよく聞いてくれた従兄だから、二つ返事でOKしてくれたのだと。
仕事人間で、音楽関係のことには疎いらしい。
KEIFERはもとより、A.N.JELLの名前も全く知らないという。

だからこそ、シヌの迎えも躊躇なく行ってくれたようだ。

「だけど…こっちの到着が遅れちゃってさー」
なぜかちらりとロンに視線を移すハルカ。


「何だよ!!オレのせいか?」
「だって…途中道間違えただろう?あれがなければオレ達が先立ったじゃないか?」
「仕方ないだろう?こっちで走るのは初めてなんだから」
ハルカの言葉を受けて反論するロンだが、いつもの勢いはない。
LAのハイウェイを疾走していたロンには、田舎の狭い道加えて左側通行ということで
かなり運転しづらかったと、後になって教えてくれた。

いろいろと驚かされたが、ロン過去の行動を思えば今回はまだおとなしい方だったのかもしれない。

 やがてハルカはミニョの前に進み出ると、自分たちに見せるそれとは少し違った表情をしながら話しかけた


「えっシャルマンて…そうだったんですか?」
目を輝かせてハルカと話すミニョをみて、シヌの頭の中は疑問符でいっぱいになる。


(シャルマンて何だ?)

そしてうっかりミニョが口をすべらせた“ジェルミと食べあっこ”
自分が寝込んでいる間に、何が起きたのか・・・


とにかくさっさと対談を済ませて、ミニョに問いただしたい思いで一杯になってしまった。


「ロン対談するんだろう?何を話すんだよ」

「あっそれは明日で良いよ…シヌ病み上がりなのに振り回して悪かった。今日は“しっかり”身体を休めてくれよ」
しっかりと部分とわざと強調したロンは、ミニョにも何か耳打ちする。


「なっな…ロ…ロンさんたら!!」
ミニョはこれ以上無いって言うくらいに真っ赤な顔で、何か言いかけるがすぐに口を押さえて俯いている。
たったそれだけのことなのに、気になってしまう。

ロンとハルカが出て行った後、いつまでのドアのほうを見つめているミニョ。
思わずその手を強く掴むと、くるりと反転させた。


「いたっ・・」
「ミニョ・・・いろいろと聞きたいことがある」


そうして・・・そのまま壁に追い詰めていた
======================================

ロンの前では、ペースを乱されっぱなしのシヌです。

何よりミニョちゃんがロンと現れたことで、ちょっと複雑な思いを抱いています。


加えてハルカ君まで・・・年下とはいえポテンシャルがかなり高いハルカ君。

ミニョちゃんには、スイーツ王子に思えるでしょうね。


 

拍手[22回]

PR
<< Little Wing 4 848 |  847 |  846 |  845 |  844 |  843 |  842 |  841 |  839 |  838 |  837 |  Little Wing 2 >>
HOME
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新コメント
[09/25 まゆ]
[09/24 ゆぅぺん]
[07/06 まゆ]
[07/05 まるちゃん]
[06/01 まゆ]
最新記事
(05/11)
(02/12)
(02/12)
(12/28)
(12/28)
(12/04)
(11/15)
(11/02)
(11/02)
(10/21)
プロフィール
HN:
まゆ
性別:
女性
バーコード
ブログ内検索
忍者カウンター
忍者アナライズ
フリーエリア
◆ Powered by Ninja Blog ◆ Template by カニコ
忍者ブログ [PR]