忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Little Wing 4



「あ~あロンてば!あんなふうにミニョさんに思わせぶりなことして・・・知らないよ」

「お前こそ…わざとスイーツの話題をミニョちゃんに振っただろう」
あれから隣の建物内に入っていったハルカとロンの会話である。


「オレは、ただケーキの感想聞いただけだよ」
自分の正当性を主張するハルカ。
TOJOグループのコネクションを発揮したおかげで、すんなりと手に入ったものだからと自慢げだ。


「どうだか…顔が緩んでたぞ?」

そういって揶揄するロンだが、出会ったころよりさらに綺麗になったミニョを思えばハルカが惹かれるものも無理はないと思う。


ロンにしても…
可愛い妹のように思っていたのに、済州島ホテルで久々に再会したときは初めて意識した気がする…
一人の女性として


だから、父親に指摘されたとき少なからず焦ってしまった。
誰にも気づかれていないと持っていたのだから…

“もっと大切な存在”のために、この気持ちは何があっても封印しなければならないのだ。


「ロン!!何呆けてるんだよ!!今夜中に完成させないと」

「ずいぶんだな!!ガキのくせに!!このオレに指図するとは」
ハルカに急かされながらも、ロンはどこか楽しげだった。



一方そんな彼らの行動で、残りの二人はといえば…

逃げ場を失ったミニョは、怯えたような表情でシヌを見上げる。

「あの…聞きたいことって…んっ」
だが、それ以上言葉を繋ぐことが出来ない。
ミニョの唇に、シヌのそれが強く押し当てられているのだから…

あまりの激しさに困惑して、胸を押し戻そうとしても力の差は歴然だ。
そしてそんなミニョの行為が、いまのシヌの不安をさらに煽ってしまう。

ようやく解放できたときたのは、肩で息をするミニョに気づいたとき。

「はぁ…もうシヌヒョンたら、苦しくて息が止りそうです」
未だに鼻呼吸がうまく出来ないミニョからの可愛い抗議。
自分がどうしてこんな目にあうの、ちっとも気づいていないのだ。



「ねぇ…シャルマンて何のことだ?」

思い切ってミニョに尋ねてみると、ミニョは一瞬の沈黙の後あっと声を上げる。

シヌが寝込んでいた日、テギョンがお土産に買ってきてくれたスイーツ店の名前。


「何度か並んだんですが、いつも売り切れで…すごく嬉しくてジェルミと一緒にはしゃいでしまいました。」

テギョンは甘いものは食べないので、ミニョとジェルミそしてミナムの3人のものになったという。


「そうか…ミニョがそんなに好きなスイーツの店なんて始めて聞いたな」
「あっごめんなさい…シヌヒョンも甘いものが苦手だし…それで」
シヌがポツリと呟くと、ミニョは慌ててフォローをし始める。
ミニョなりに気を使ったということは頭で分かっていても、複雑なのである。


「シヌヒョンが熱で苦しんでいるときに…私ったらごめんなさいっ!!」
浮かないシヌの表情を見て、ミニョは別の考えに至ったようだ。


「いや…気にしなくて良いよ…」
テギョンが知っていたことに対する複雑な気持ちなんで、カッコ悪くていえないからここは余裕を見せようと思う。


するとミニョは安心したのか、さらにいろいろ話してくれた。
シャルマンという店は、ハルカの実家のTOJOの傘下にあると聞かされたことを。

「すごい人気なんですけど、食べたいときはハルカさんに頼めばよいと言ってくれてすごく嬉しかったです」
さっきのミニョのキラキラした笑顔は、スイーツのため。

そしてもうひとつ知りたかったジェルミとの食べあっこも、一種類しかないスイーツをお互い食べたかったからだとミニョ自ら話してくれた。
ミニョは純粋にスイーツが目的だが、ジェルミには下心も半分あったに違いない。

全く油断も隙もない。


“軽くシめておかないと”

冗談とも本気ともつかないシヌのつぶやきは、幸いにもミニョには聞こえてなかった。



次にもうひとつのことを聞こうとしたが…
ミニョのおなかの虫の音を聞いてしまう。


「おなか空いちゃいました」
恥ずかしそうに俯くミニョを見て、シヌはふっと笑みを漏らす。

こんな状況でもやっぱりミニョなのだと。
KANATA氏から、ここのものを自由に使って良いといわれたことを思い出して
冷蔵庫を開けると、食材は一通りそろっている。


「ミニョ…少し待ってろ」
オール電化のシステムキッチンを完備して、使いやすそうだ。
そうして風邪を引いて以来、久々にキッチンへと立つのだった。


やがて…出来上がった料理を目の前にして、ミニョは興奮気味だ。

「美味しそうです…まるでお店にいるみたい」
やっぱり素直な反応を前にすると、作り甲斐がある。
相当おなかが空いていたのか、その食べるスピードに苦笑してしまうが…

何をしていてもミニョは可愛い。


食後は、二人でゆっくりとティータイム。
抹茶と書かれた小さな缶を開けてみると、粉末が入っていたのでミルクと混ぜてラテを作る。シヌは勿論ストレートだが。


おなかが満たされると、ミニョは自然にシヌへと凭れかかってくる。

「ここのおうち…はじめてきたけどすごく落ち着きます」
「ああ…ハルカに感謝だな」
スイーツといい、この家といいミニョのツボを押さえているのが気に食わないが。


そして…いよいよ本題に入った。
移動中のこと…ハルカがいたから二人きりでないはずだが…どうしても聞いておきたかったことだ。

だが…ミニョの答えはシヌの予想を上回るものだったのである。


「ロンさん…わざわざ迎えに来てくれて…助かりました」
方向音痴のミニョだから、これは当然の気遣いだと思う。

「ロンさんの会社の専用機に乗りましたたけど、思ったより早くてびっくりです。
乗客は私とロンさんだけなんて、贅沢ですよね」

キーファーグループの専用ジェットに乗るのは初めてではないが、あの時は気を失っていたからシヌもミニョも記憶がないのだ。

そんなことより…

「え?ロンとふたりだけ?ハルカは?」
「ハルカさんは、空港に迎えに来てくれて」
シヌが利用した空港とは別の空港で、ここから1時間弱のところらしい。

移動中の飛行機の中での様子を楽しそうに語るミニョ。
少しも疚しいこと(ミニョに限ってあるはずもない)からこそ屈託のない表情で話せるのだと分かっている。

だが…時折ロンに見せる表情が、自分に向けられるそれと変わらないと思うときがあるのだ。
ロンは大恩人でもあるし、ミニョが慕うのは当然のことなのに・・・

だから…ミニョが自分のものだということを確かめたくて
早々にベッドルームへと連れて行ってしまった。


だが・・・いざとなったら・・・避妊具を用意していないことに気づいた。
ここは山の中・・・来る途中店らしい店は見当たらなかった。

ミニョに覆いかぶさりながら、途中でやめるというのは生殺しに近いが
こういうことはきちんとしたいから・・・手を止めると・・・

眼下のミニョが何か言いたげに、シヌを見上げる。


「あっあの…私のバッグの中に・・・・その…」

「どうした…バッグの中?」
ミニョの言葉に、旅行かばんを開けると。

きちんと包装された厚みの薄い箱が入っている。
それがなんであるかは、一目瞭然だ。


「ミニョ・・・これどうしたの?」

「ちっちがいます・・・ロンさんがシヌヒョンが喜ぶものだって知らないうちに・・・入れたんです」
必死で言い訳をするミニョは、恥ずかしさから泣きそうだ。


「大丈夫だ・・・泣くな?」
そう・・・これからいやになるほど啼くのだから・・・まだ早い
そして…さっきまで漠然と浮かんでいた不安は一気に小さくなった。

(ロン・・・お前の好意は、有り難くいただくよ)

====================================

対談にまで至らずに、すみません。
今回のロン、これまでと少し違った思いでいます。
ただLA編本編でも、惹かれていたところはあったのですが…

勿論あくまでもシヌ>ミニョちゃんだから、シヌの愛するミニョちゃんに邪な思いを抱くことはありえませんが。

シヌはシヌで、ロンに対して無防備なミニョちゃんが心配でした。
狼に変身したシヌが、残念!!寸止め斬り!になりかけたところを
ロンの機転で無事?に切り抜けましたね


拍手[27回]

PR
<< Little Wing 5 849 |  848 |  847 |  846 |  845 |  844 |  843 |  842 |  841 |  839 |  838 |  Little Wing 3 >>
HOME
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新コメント
[09/25 まゆ]
[09/24 ゆぅぺん]
[07/06 まゆ]
[07/05 まるちゃん]
[06/01 まゆ]
最新記事
(05/11)
(02/12)
(02/12)
(12/28)
(12/28)
(12/04)
(11/15)
(11/02)
(11/02)
(10/21)
プロフィール
HN:
まゆ
性別:
女性
バーコード
ブログ内検索
忍者カウンター
忍者アナライズ
フリーエリア
◆ Powered by Ninja Blog ◆ Template by カニコ
忍者ブログ [PR]