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NEW YEARS DAY 5


 


朝になるとシヌは、気持ち良さそうに眠るミニョの枕元にメモを置いてからリハーサル室に向かった。


「何だ・・・早いな?もう少しゆっくり来ると思ったのに」
ニヤリと笑うロン。


「ああ・・十分休んだから大丈夫だ・・・オレは若いしな」
さらりと交わすシヌは、かなりの余裕を見せていた。


「ふっ言う様になったな・・・可愛くない」
「其れはどうも・・・でも可愛い奴ならちゃんといるだろうハルカが」
ハルカの名が出た途端・・ロンは苦笑する。


教会から戻った後、これまでとは別人のように素直になってリハーサルに励んでいたこと。
ジョーとリックも自分たちの話のせいでハルカが思いつめたと言って、謝罪した。


「ま・・・なんかいろいろ心配掛けたけど・・・大丈夫だ!」
はっきりと言い切るロンを前にして、シヌはようやく安堵する


「なあ・・ロン?ハルカのことは・・・・」
「・・・・分かってる・・・オレは・・・・」
いつまでも宙ぶらりんなハルカの事を思うシヌに、ロンなりの考えを話してくれた


それから数分後、ハルカがやって来る。


「ロンさん、シヌさん、おはようございます!!今日はよろしくお願いします」
ペコリと頭をさげる。初対面の時と別人のようだ。
続いて、ジョーとリックも部屋に入ってくる。


やけに気合の入れた服装のジョーは、部屋の中をキョロキョロ見渡しているようだ。


「ジョー、ミニョちゃんは来てないからな」
ロンに言われると、あからさまに落胆したので全員が爆笑していた。


和やかな雰囲気の中、リハーサルを終えいよいよ今夜ライブを迎えるのだ。
もちろんそれは、今夜のパーティのメーンイベントとなる。


シヌが部屋に戻ると、ミニョはまだ眠っていた。
その寝顔はあどけなくて、昔を思い起こさせる。


「いつまでたっても、寝顔は天使だな」
頬を撫でながら、軽くキスを落す。


すると・・ミニョの瞼がうっすらと開いた。


「お目覚めですか?ミニョ姫?」
身体を起こしたミニョの前には、そんな台詞が似合いすぎるシヌが立っている。


<span style="font-size:x-small;">「ははい・・・シヌ王子様・・・」</span>消え入りそうな声で、呟くミニョ。


シヌは一瞬目を丸くした後、ミニョを抱き寄せる。


(全く・・天然姫には敵わないな)


その後、ゆっくり目のシャワーを追えたミニョの前にルームサービスの食事が用意されていた。
ちょうどおなかが空いていたミニョには、ナイスタイミングである。


「シヌヒョンは、エスパーですね。私のことが何でも分かるんですから」
真顔でそんな事を言うミニョ。
シャワーの前に自分で空腹を訴えていたのを忘れているのだろうか。
だが・・ここは話しを合わせておくことにする。


「そうだな・・・でもこの特殊能力はミニョ限定だから」
そう言って囁いてあげると、嬉しそうに笑ってくれた。


その後はドレスが置いてあるミニョの部屋に戻る。


程なくモディがヘアメイクと一緒に、やってきた。


「・・・ちょっと随分と痩せたじゃない?」
「うん・・・オンニ」
久しぶりに会うモディは、ミニョを観て興奮しているようだ。
そしてシヌから今夜のパーティのドレスの現物を見せられると、さらに驚く。


仕事柄ハイグレードの商品を見ているモディをもってしても、
目の前のドレスを見て、一瞬言葉を失う。


だが、すぐに奮起したようだ。


「シヌ、私の腕の見せ所ね!!」
「はいヌナ、楽しみにしていますよ」
モディに全面的に任せたシヌは、嬉しそうにその場を後にした。


「さて・・・初めるわよ」
モディの目がキラキラと光った。


その後・・・再び部屋を訪れたシヌ。


「さぁ・・・しっかり見なさいよ」
自信満々のモディがミニョの手を引いてきた


「ミニョ・・・?」
「あっあの・・・どうですか?」
上目遣いに不安げに見つめるミニョ。


「うん」いやあ・・・ミニョちゃん想像以上だよ!!」
いつの間についてきたのか、ロンが感嘆の声を上げる。
そしてすばやくとなりに並ぶと、パチリ。


「ロン、何やってるんだよ」
「何って、見れば分かるだろう写真だよ♪」


「そんなの見れば分かる!!どうしてオレより先に!」
「ミニョちゃんに見とれて呆けていたお前が悪いんだろ?アハハ」
シヌの抗議などお構いなしのロン。


そんな二人を見ながら、ミニョは静かに微笑んでいた。
だが、すぐに大事な事を思い出す。


「ロンさん、このドレスってすごく高価なものなんですよね?」
モディ曰く、軽く車が買えるほどのようだ。


「あっそんなの気にしなくていいよ。」
「でも・・・こんなことまでしていただいて」
こともなげなロンに、ミニョは申し訳なさでいっぱいになるのだ。
そうかと言って、ミニョが買い取る事の出来る金額では到底ない。


「う・・・ん、じゃあさ?今夜のパーティで1曲オレと踊ってくれる?」
「えっ?」
ロンの申し出に驚くミニョ。


「なぁ・・・?シヌ?ダメか?」
ダンスを踊ることくらいで、シヌが止める権利などないのだがあえて聞いてくるのだ。


束縛の強い奴だと思われたくなくて――十分に知られているだろうが――
ミニョに踊るように進めると、コクリと頷いた。


そうして交渉が成立した頃
バタバタと部屋に駆け込んできたのは、ジェルミとミナム。


「ミニョー超絶可愛いーーー」
久しぶりに抱きつこうとしたジェルミだが、その行動を呼んでいたシヌによってまたもや妨げられてしまう。


「懲りないな・・お前」
ミナムは気の毒そうに見つめているが、兄のミナムから見ても
ドレスアップされたミニョの姿に驚きつつも、其処は平静を装う。


「いやあ・・・馬子にも衣装だよな・・・後はヌナ達のテクのおかげか?」
「ひっどーい!!オッパったら意地悪!!」
揶揄するミナムに、頬を膨らませるミニョ。


「ホレホレ・・・そんな顔したらドレスが泣くぞ」
ムキになるミニョの更にからかうミナム。


「ミナム君・・そんな意地悪いわないで褒めてあげなよ?ミニョちゃんのこの姿をジョーが見たら鼻血ものだからさ」
「オーバーだな・・・いくらジョーでもそれはないだろう?」


果たして・・ロンの予想は見事に的中することになるだが・・・


その後ようやく邪魔者?を追い払い、ミニョの二人きりになったシヌ。


「お迎えに参りました」
跪いてミニョの手を取るシヌは、ミニョが子供の頃に読んだ絵本の中の王子様そのもの。
そして・・・ミニョも今夜だけは本当のお姫様になれる気がしてきた。


シヌにエスコートされ、会場に向かうミニョ。
傍から見たら本当にお似合いで、何人も割り込む隙間などもうほんの少しだって残ってはいない。


「ミニョ・・・・痩せたよね。聞いたよ、ヒョンも協力してくれたんでしょ」
二人の後姿を眺めるテギョンの隣で話すミナム。


「別に・・・ただ朝の散歩に付き合っただけだ・・・久々にあいつをしごいて楽しかったけどな」
「ミニョも喜んでいたよ・・・ありがとう」
テギョンの消えないミニョへ思慕には、あえて触れようと馳せずただ感謝の気持ちを告げた。


そしていよいよパーティーの始まりとなる。


「HAPPY NEW YEAR!! 今夜はキーファーグループ主催の宴にお集まりいただきましてありがとうございます。」
マイクを持って流暢な韓国語で挨拶をするのは、ロンの父のようだ。


その後は簡単に自社の説明をして、ロンをマイクの前に立たす。
「息子のロンです。まだ先の話ですが、ゆくゆくは私の後継者となります」
 
総帥の言葉に、シヌを初めANJELLの皆は驚きの表情を隠せない。
だが、ジョーとリックの反応はいたって冷静だ。


「まあ・・・あいつは御曹司だからな。遅かれ早かれこうなると分かっていた」
それでも今すぐというわけではないらしい。
音楽活動も続けることは後を継ぐ条件として父に突きつけたという、ロンらしい強引さ。


「それにな・・・このホテルってロンのものなんだぞ」
ジョーがこっそり耳打ちをする。


「そうすれば、シヌとも自由に会えるって考えたみたいでさ」
ジョーは笑うしかないようだ。
だが、実はジョーもロンの補佐として就くことも決まっている。


「あいつに任せっぱなしだと何かと暴走しそうだしな・・・」


やがて・・・渦中のロンがこっちへやってきた。


「ロン!!相変わらずサプライズが好きな奴だな」


「そうか?でもこれでも抑えたほうだぞ・・・LAじゃなくこっちにしたんだからな」
相変わらずの奴だとシヌは思うが、考えてみれば去年はいきなりミニョと二人で拉致されたりと、
ロンの行動には予測がつかない。


「じゃあ・・・さっきお願いしたように、ミニョちゃん借りるぞ」
「あ・・ああ・・・ミニョ」
シヌに促されると、うつむき気味に前に出るミニョ。


「ミニョちゃん・・・それじゃドレスに負けちゃうよ、顔上げて?」
「はっはい!!」
ロンに言われてきっと真正面を見据えるミニョは、後ろを振りかえると


「シヌヒョン…行ってきます」
「うん・・行っておいで」
ほんの僅かの時間でも、ミニョと一緒にいられないと思うと不安になってしまう。


(本当に病気かもな・・・)
何となく隣のジョーの反応が気になって見て見ると・・・フリーズしている。


「ミニョちゃんが・・・あんなドレスを着て・・・オ・・オレ・・ど・・どうしよう」
そして・・たらりと落ちる鼻血。
どうやら、ロンのいう事は正しかったようだ。


数分後曲が始まると、会場の注目はロンとミニョのダンスだ。


普段のロンからは想像できない優雅な動き、上手くミニョをリードしている。


「よかったな・・・あいつが恋敵にならなくて」
いつの間に隣に来たのだろう?テギョンが二人を眺めながら語る。


「全くだ・・・お前以上に手強いに違いないからな」
今さらながらに思うシヌ。
そういえばミニョもロンには打ち解けるのが早かった気がする。
もしも本気になっていたら・・・どうなっていたのだろう?


一方・・ミニョはといえば・・
慣れない場所での慣れないダンス。
それでも踊りやすいのは、ロンのおかげなのだろう。


正装したロンはミニョが持っているワイルドなイメージからは違って、なんだが不思議な気持ちになる。


「あっ」
「おっと」
突然躓きそうになったミニョを軽くロンが支える。


「気をつけてよ・・オレと踊っていて足を挫いたりなんかしたら、オレの命が危ない」
「そんな・・・ロンさんたら大げさですってば」
ミニョはくすくす笑っているが、ロンのいう事はかなり当たっているのだ。


「ロンさんて、やっぱりカッコよかったんですね?」
「残念・・・今頃気づかれたか?会ったころに言って欲しかったな」
アプローチしたのに気づかなかったでしょう?とおどけるロン。
もちろんミニョにはいつものジョークだと思ったのだが・・


「ロン・・・パートナーチェンジだ」
半ば強引に割り込んできたのは、意外にもテギョン。


「ずるーいヒョン!!じゃあ次はオレの番だからね」
傍にはしっかりとジェルミ。


テギョンはもちろんだが、ジェルミもさすがに貴族の血筋だけあって上手にミニョをリードしている。


「ミニョちゃんは、天使どころかみんなの女神だな」
「ああ・・・今だけな」
ロンが待ちぼうけのシヌを揶揄すると、平然と答えてきた。


「なっなあ・・・オレもミニョちゃんと踊りたい」
さっきから羨ましくて仕方がないのは、ジョーだ。


「おまえ、ちゃんと踊れないだろう?万一ミニョちゃんの足でも踏んで怪我でもさせたらどうする?」
「うっ・・・ぐ」
踊れないミニョは、相手のリードがないと不安定になるのだ。
ましてや体格のよいジョーの全体重がかかったらと想定すると・・・


結局・・・近いうちにダンスの先生を呼ぶことでようやく納得させたのだ。


「ああ・・・ミニョばかり人気者だよな」
可愛い双子の妹だが対抗心からか、その声には少しだけ妬みを含んでいるようだ。


「仕方ないよ・・・ロンとジョーにとっても本当に大切に思っている子なんだから」
ただ一人中立の立場のリックは、さりげなくフォローをする。


「ねっハルカはどう?」
「えっ何言ってるんですか?オレはあの歌声に興味があるって・・・だけで」
ミニョの方をずっと眺めていたハルカは、いきなり話しを振られて動揺している。
聞かれもしない事を話してくれるのだから。


「分かった・・まあそれだけに留めておくのが賢明だよ。」
ミナムの言葉に、一同頷く。
ミニョを護る騎士はたくさんいるが、愛し愛される事が出来るのはたった一人だと分かっているのだ。


そうして、いよいよ今回のパーティーのクライマックスのKEIFFRのライブ。


自分が抜けてから、こうしてKEIFFRのライブを目の前で見るのはシヌには初めてで感慨深い。


ハルカのプレイも、曲が進行するつれてどんどん良くなっている。


「これで・・安心だな・・・」
「ああ・・・全くだ・・・オレたちも負けちゃいられないな」
昔は考えられなかったくらいに、テギョンとも分かり合えることがシヌには嬉しかった。

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