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NEW YEARS DAY 3


あくる日・・・ロンの自家用ジェットで済州島にやってきたKEIFFRの二人。
自分たちを迎えに来た意外な人物に、リックは思わず声を上げる。


「テギョン・・・どうして君が?」


「ああ・・・ロンはシヌと合わせている・・・時間がないからな」
テギョンの言葉で、リックは瞬時に事情を理解したらしい。


「悪いな・・・また世話になってしまった」


「気にするな・・・今回のことはせっかくのチャリティを中止にしたくなくてオレからロンに頼んだことだ」
以前より素直になったように思えるテギョンに、リックも笑みを浮かべる。


「ところで・・・お騒がせの小僧はそいつか?」
リックの後ろでふてくされている、少年に目が留まった。


「小僧で悪かったな・・・」
そしてゆっくりと顔を上げると・・・その顔を見たテギョンは少なからず驚いた。


「お前・・・が・・・サポートメンバーか」


「そうだけど・・・文句ある?」
テギョンの鋭い視線に臆する事のない少年。


「ああ大いにある!大事なライブの前に喧嘩とは・・・プロ意識に掛けるな・・・もしもオレがリーダーなら即クビだ!!心の広いロンにせいぜい感謝しておけ!!」
強く言い放つと、二人を車に乗せてホテルへと向かうテギョン。


けがを理由にさっさと後部座席を占領しているハルカ・・・


「なかなか大変そうだな」
ハンドルを握りながら隣のリックに話しかけると、リックは苦笑していた。


やがてホテルに着くと、音合わせをしている部屋へと三人は向かう。


リックがドアを開けると、目の前に広がる懐かしい光景がそこにはあった
シヌのギターに合わせて生き生きと歌うロン。


「全く・・・シヌの奴・・あんなに楽しそうにプレイしていて気に食わないな」
皮肉混じりのテギョンだが、よく見ると目は笑っている。


「ああ・・・ロンもそうだ・・・」
同じようにリックも答えた。


「これなら・・・明日までに間に合いそうなだ…おい小僧感謝しろよ。最強の代打が居てくれたことにな」


「別に・・頼んだわけじゃないから・・それから小僧じゃねえよ!ハルカだ」
子ども扱いをするテギョンに言い返したハルカは、さっさと部屋の中へと入ってゆくと
壁際に凭れながら、視線はシヌへと向かう。


テギョンとロンだけでなく・・・ジョーやミナムとジェルミ・・・


そしてシヌに溺愛されているミニョでさえ・・・


今の二人の間に入り込めないと思ってしまう。
(やっぱり・・・)


「…敵うわけないじゃん」
その声の主は、ついさっきこの部屋には言ってきた男の子。


(あっ)
そして・・ミニョはあることに気づいてしまった


やがて・・・披露する曲の全てを終えると・・・
ロンがハルカのもとへとやってくる。


その表情が余りにも険しいことに気づいたシヌ。


「ロン!!昨日頼んだだろう?ちょっとこのハルカを借りるから」
左手を軽く掴むと、そのまま部屋を出て行ってしまった。


「アハハ・・・やられたな・・・一発やりそこなった」
冗談とも本気ともつかないロンの言葉に、周りは何もいえなかった


だが・・何か言いたげなミニョに気づくロン。


「ミニョちゃん心配することないよ。手は出さない。もちろん別の意味でもね?あいつはいたってノーマルだから」
その言葉で、周りからどっと笑いが起こる。


「いえ・・・そんなんじゃなくて・・・あの人・・・ハルカさん?何となく似ているなって」
「えっそうかな?」
惚けるロンだが、誰に似ているかなんて聞くまでもない。


「ああ・・・オレもさっき会った時ミニョと同じ印象だったぞ」
テギョンも同調すると、周りもみな納得していた。


「ふぅ・・参ったな・・・そんなつもりで選んだわけじゃないのに」
いつものロンらしからぬ、決まりの悪い表情を浮かべている。


「それと・・・・聞えたんです・・日本語だと思うんですが」
ミニョは、さっきハルカが漏らした言葉を伝えていた。


一方・・・シヌが向かったのは岬に立っている教会。


「さぁ・・・ここなら誰にも邪魔は入らないから」
入口から動こうとしないハルカをなかへと促した。


「右手の具合はどうなんだ」
シヌが心配そうに近づくと・・・


「ほっといてくれよ!!あんたにカンケーねぇだろ」
そう言って右手で思いっきりシヌの手を祓っていた。


「え・・・その手ひびが入ってるんだろう・・・?」
シヌが怪訝な顔をすると、ハルカは顔色を変えた


「あ・・・違くて・・・今のは咄嗟に・・イテテ」
シヌから目を逸らし、左手を押さえるハルカ


「それじゃあ・・逆だよ・・・」
シヌの言葉に観念したハルカは、乱暴に腕の包帯を取ってしまう。


「どうして・・・怪我をした振りなんかしたんだ?」


「だって・・・どうせ・・・オレはアンタの代わりだってわかっていたから・・・」
シヌが優しく問いかけると、ハルカの態度はこれまでの強気の態度から一変する。


そして・・ハルカは語りだした。


サポートメンバーとしてだが、KEIFFRの一員になれたことが嬉しくて必死に練習をしていた日々。


ある日スタジオを訪れると・・・なかから話し声が聞えてきた


『なあ・・ハルカってさ・・・似てるよな』


『お前もそう思うか、リック』
どうやら・・・話題は自分について


『今までになく・・・長く続いているのはやっぱり・・・』
『ああ・・・恐らくそうだろうな・・・きっとシヌに重ねてるんだろう』


その時初めて意識した“シヌ”という存在。


だが・・・あくまでも今こうしてグループに居るのは自分だという自負があった。
そしていつか正規メンバーとして認められたいという思い。


 


「でも・・・それはやっぱり無理だって気づいたんだよな・・・」


「どうしてそんな風に?・・・まだまだこれからだろう?」
自嘲気味に話すハルカを見て、シヌは不思議に思う。


「だって・・・ロンさんがあんたに電話してただろう?」


「ああ・・・」
シヌは2ヶ月ほど前の事を思い出していた。


こっちのホテルの買収のこと・・・そしてサプライズがあること


「ロンさんの声がいつもよりも、楽しそうでさ・・・あ・・・その時ダメかもって思って」
辞めようかと思ったが、なかなか決心がつかなかった。


けんかをしたのは、単に絡まれただけ。
「本気で腕をやられそうだと思ったときに・・通りすがりの人が警察を呼んでくれて」
腕は軽い打撲のみ・・もちろん折れるどころか皹すら入ってない。


「いい機会だと思った・・・これを理由に辞められるってね」
だけど・・ロンの命令でここまで来てしまった。


「やっぱり来なければ良かったよ・・・だって到底アンタに敵いっこない・・・から」
床に座り込んで項垂れるハルカ。


シヌは隣に座ると、静かに肩に手を置く。


「ロンからの電話で・・・会わせたい奴が居るって聞いたんだよな・・・嬉しそうに話すから彼女だとばっかり思ってたけど・・・どうやらハルカの事らしいな」


「え?オレ?まさか」
ハルカは、首を横に振る。


その時だった・・・
バン!!と教会の扉が勢いよく開くと・・・


ロンが入って来た。


「ったく・・・仮病だって?こんなガキに騙されるんじゃ・・オレもヤキが回ったようだな」
そして行くぞと言ってハルカの右腕を乱暴に掴む。


「ロンさん・・・何処へ?」
「愚問だな・・・音合わせに決まってるだろう・・・なあ?」


ロンの問いかけに、ジョーとリックは大きく頷く。


だが・・・どうやらついてきたのは二人だけではなかったようだ。


「何だ・・・役者揃い踏みだな」
そう言いながらロンは、一番最後に控え目に入って来たミニョに目を止める。


真っ直ぐシヌのもとへ向かおうとするミニョに向かって話しかけた


「ねっミニョちゃん頼みがあるんだ・・聞いてくれるかな」


「はっはい・・なんですかロンさん?」


ロンの頼みは・・・この場でミニョに賛美歌を歌って欲しいという事だった。
それもロンのピアノの伴奏で・・・


「あ・・でも・・・私なんかより皆さんのほうが」
謙遜するミニョ


「いや・・・オレはミニョちゃんの歌が聞きたいなあ・・・シヌからも頼んでくれないか?」


「ったく・・・そう来たか・・・分かったよ」
わざとらしくお願いのポーズをするロンにあきれながらも、ミニョのところへ行くと顔を両手で挟み込んだ。


「ミニョ・・・ハルカに天使の歌声を聞かせてあげて?」
そうして、額にちゅっと口づける。


周りを全く気にしないシヌの行動に、最早ツッコミを入れるものは居ない。
ただ・・ハルカだけは・・・呆気にとられている。


そうして・・・名立たる本職を前にして・・・
今は一般人であるミニョが歌い始めた

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NEW YEARS DAY 2


「ハルカが喧嘩して腕を怪我をしたって!!」


「なんだって・・・どういうことだよ!!」
ジョーから話しを聞いたロンは、驚きを隠せない。


そして、リックから詳細を聞こうとして電話を掛けた。


「もしもし・・・ああオレ・・・・・・そうか」
リックから聞かされた内容はジョーの話と変わらなかった。


「それで・・かなり重いのか?」
『ああ・・・皹が入っているらしい・・どうするロン?』
困惑したロンに、電話の向こうのリックの声は沈んでいる。


「そうか・・・右腕だけならとりあえず連れて来い!!」
『えっだって・・・この腕じゃ・・・』
尚も言いかけるリックの声を遮るように、電話を切ってしまった。


「あ・・・あのクソガキが・・・」
ロンは舌打ちをした後、額に手を充てている。


「ロン・・・どうするんだよ・・・あれは?」
「こうなったら仕方ないだろう・・・中止だ!!」
ジョーの問いかけに吐き捨てるように言い放つロン。
そのまま何処かへ行ってしまった。


「ジョー・・・いったい何があったんだよ…それにハルカってもしかして?」
残されたジョーが呆然とする中、シヌが聞いてきた。


 


「ああ・・サポートメンバーだ。」
シヌがa.n.jellに復帰した後、正式メンバーは加入させてはいないのだ。
それでも・・・好き嫌いの激しいロンにしては今までで一番続いているらしい。


「そうか・・こんなときだけど、とりあえず安心したよ」
シヌが安堵の表情を浮かべると対照的に、ジョーは浮かない様子だ。


「とにかく生意気でさ・・・ロンにも平気で楯突いていて」
それでも、クビにしないのはそのギターセンスとテクニックによるものだという。


「それとな・・・いや・・いい」
何かを言いかけたジョーだが、それ以上続くことはない。
シヌは、怪訝に思いながらもそれ以上の追求はしなかった。


「ジョー、ロンは中止と言い切っていたがそう簡単に行かないんだろう?」
成り行きを静観していたテギョンが、いきなり口を開いた。


「ああ・・って・・テギョンお前ロンから聞いてたのか?」
ジョーは、少なからず驚いている。


だが・・・テギョンは苦笑しながら答えた。


「オレは・・別に・・ただお前らのやり取りを聞いて切れば誰だってわかる」
なあと、振り返ったが・・・


テギョンの話しをすぐに理解できるのは、ミナムだけで
ミニョとジェルミは目をぱちくりさせていた。


「シヌ・・ちょっと付きあえ」


「ああ・・・」
テギョンの意図に気づいたシヌ


「30分くらいで戻るから、みんなと待ってろよ」
不安げに見つめるミニョを、軽く抱き寄せると足早にエレベーターに乗り込んでいった。


そして残された4人のうち、最初に言葉を発したのはジェルミだった。


「ねぇ・・ジョーさん?まったく話が見えないんだけど・・・それにヒョンとシヌヒョンは何処へ行ったの?ねえねえ!!」
早口の英語でまくし立てるジェルミを見て、ミナムが牽制した。


「STOP・・・こんなところだと目立つだろう?場所をかえよう」
そうして、宿泊しているホテルの部屋に皆を連れてきた。


「ジョーさん、単刀直入に聞くけどさロンさんは今でもシヌヒョンと一緒にやりたいと思ってるの?」
本当に直球でぶつけてくるミナムに、ジョーは苦笑していた。


「ああ・・・だけど前のようにメンバーに入れたいという気持ちとは違うぞ・・・シヌの居場所はキミ達のところだって分かっているから・・・」
小さい頃から一緒にやってきたジョーは、誰よりもロンの気持ちがわかるのだ。
それでもと、続ける。


「シヌでハードルを上げてしまったからな・・・後任の奴をすぐにクビにしてしまってさ」


「えっロンさんが?」
ジョーの話しを聞いて、ミニョは信じられないといった顔をする。
ミニョにはいつだって優しくて、暖かく接してくれたロンだ。


「まあ・・・ミニョちゃんには特別さ・・・」
そう・・シヌとの出会い・・そしてそのシヌにとってのたった一人の女の子・・・
ロンは本当に大切に思っていたのだ。


「今だから言うけど・・・あの頃ロンもきっと・・・」


「えっあの頃って何のことですか?」
ジョーの話が見えずに、首を傾けるミニョを見てミナムは、大きく溜め息を漏らした。


「ミニョ・・・鈍いって幸せなんだって事がよく分かるよ。なっジェルミ?」
「えっああ・・・そ・・・そうだね」
いきなり話しを振られて、とりあえず相槌を打つジェルミだが本人もわかっていないだろう。


「なんだか、大変だなミナム君」
ジョーは噛み締めるように語った。


 


同じ頃、シヌとテギョンはホテルのプールに居た。


このプールはVIP専用で、ロンが許可したものしか入室できない場所である。


プールサイドに立ち、ロンの泳ぎを眺める二人。


「たいしたもんだな・・・こっちでも十分通用するレベルだ」
テギョンが感心するくらいに、ロンの泳ぎは素人の息を超えている。


「ああ・・・どんなことにも手を抜かないからな・・似てるんじゃないのか」
シヌは、意味ありげにテギョンに視線を移す。


「冗談だろう・・・オレには到底無理だ」
テギョンは、キッパリと否定した。


やがてプールから上がったロンが、こっちへやってくる。


「何だ・・・良くここがわかったな」
皮肉混じりにシヌを見つめる、ロン


「ああ・・・ホテルから出ないならきっといると思ってた・・・どうだ?すっきりしたか?」


「少しだけどな・・・」
そう言って、近くにおいてあったペットボトルを掴むと一気に飲み干していた。


「ロン・・・チャリティーライブのギターならシヌを代打にしたらいいだろう?」


「「テギョン!!」」
思わぬ提案に、ロンとシヌの声が重なる。


「ふっ別にそんなに驚くこともないだろう?それに曲もオレの予想では・・・」


「全く・・・あまり気分が良くない。シヌ?そうは思わないか?」
見事にいい言い当てられて、きまり悪そうな眼で視線を移すロンにシヌは苦笑するしかない。


「オレでよければ、喜んで協力したいけど・・・その代わり明日リックとそのハルカって奴が来たら、
少し話しをさせて欲しい・・・」
シヌは、何かを考えていたようだった。


 

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NEW YEARS DAY 1


「ミニョ!!」

「オッパ!!」
済州島のホテルにて約2ヶ月ぶりの兄と妹の再会である。


「どうした?すっげぇ痩せたじゃん!!」
目の前の妹の変貌に、感嘆の声をあげるミナム。


「エへッ分かる?」
ミニョは恥かしがりながらも、嬉しそうだ。
だが・・・よくよく見るとミナムも最後にあったときと比べると頬の肉が落ちて、シャープになっている。


「オッパこそ・・・」


「ああ・・・役作りでさ」
ドラマで主演俳優の少年時代を演じるに当たって、撮影中かなり絞ったのだ。


おかげでクリスマスケーキもお預けだったと、ぼやく。


「うん・・・私もそうだったよ」
甘いものが大好きなミニョが、我慢するというのはかなり辛かったに違いない。


「どれどれ・・・成果の程を確かめよっかな?」
ミニョの身体をぎゅっと抱きしめてきた。


「やっだーオッパったら?」
嫌がっているのは、どうやら口だけのミニョ。


そんな風にひとしきりじゃれあいが続いた後・・・
ミナムは自分の背中に突き刺さるような視線の感覚を感じた。


その主が誰かなんて、確かめるまでもないだろう。


兄と妹の感動の再会なんだから、これくらい当然のはず。
だが何を言っても無駄かもしれない・・・


何気に顔を上げると少し離れて、こちらを見ている男性がいる。
プラチナブロンドの長身の男性。
華やかな存在感は、サングラス越しでも以前にまして他を圧倒する。
口元に手をあてて、笑いを噛み殺しているようだ。


こちらに気づくと軽く手を挙げて合図をしたので、ミナムもそれに応えた。


その隙に、腕を引かれたミニョは恋人の腕の中へと包まれる。
強引な様に少し戸惑いを見せながらも、ミニョはすっぽりとその腕の中に納まっていた。
安心しきった表情でその胸の中に顔を埋めるミニョの髪を撫でながら、この上なく優しい表情を浮かべている恋人。


同じグループで冷静沈着且つ、頼りになる兄貴なのに・・・唯一ミニョのことになると自制が聞かないようだ。


「やれやれ・・・相変わらずの二人の世界だね」

「まだ良いですよ・・ロンさんは、オレなんか宿舎でいつでも見せ付けられてるんですから」
肩に手を乗せるロンに、すっかり外野扱いのミナムは溜め息をつきながらロンに語った。


「どうする?このまま少し二人の世界にさせておくかい?」


「そうですね・・・邪魔をして睨まれるのも面倒だし・・・」
踵を返そうとすると、後ろから声が聞えた。


「おーいミナムぅ・・・」
ジェルミが急ぎ足でやってきた。


「わーい。久しぶりだ」
お約束で抱きつくと、ミナムはあからさまにいやな顔をした。


「ったく・・・ミニョに出来ないからってオレを代わりにするのやめろよな」
図星を刺されて、ジェルミは言葉に詰まりそうになった。


「だってさ・・・シヌヒョンが・・・ブツブツ」
ジェルミが不平を漏らしてしまう。


「ジェルミ!いいかげんに鬱陶しいぞ・・・いつまで剥れてるんだ」
後からやってきたテギョンが、静かに一喝する。


「うっ・・・」
ジェルミは言い返したくても、言葉にならない。


「あ~あ・・・相変わらず厳しいな、リーダー♪」


「それは、どうもロン・キーファーさん」


そして少しの間二人に沈黙が流れると・・・


「「フッ」」
どちらからともなく、噴出していた。


「えっロンさんて?ロンさん?どうしてここにいるの」
この状況に一人付いてゆけないジェルミは、突然現れた意外な人物に驚きを隠せない。


「ああ・・実は今度のパーティーを企画したのは、オレの親父の会社なんだよ」


「えぇーーー!!うぐぐ」
余りの大声に、咄嗟にミナムがジェルミの口に手を当てる


「やっぱり・・・お前が絡んでたんだな」
テギョンは、さしたる驚きはない。


「ヒョン、知ってたの?」
ミナムの問いにテギョンは首を横に振り・・・つづけた


「ただ・・・キーファーグループがここのホテルを買収したという記事を読んでいたから、何となくだがな」
そう・・・アメリカでも指折りの資産家で、ロンの父がその総帥なのである。


「そうか・・・ロンさんの実家のことすっかり忘れてたけど・・・昨日ホテルでバッタリあってね・・・今回の話しを聞かされたわけ。」
ジェルミほどではないが、かなり驚いたようだ。


「やっぱりテギョンにはお見通しだな。一応ギリギリまで秘密にしておきたかったけど」
ロンはいたずらっ子にように笑みを浮かべると、さっきからふてくされているジェルミの元へと近づいてゆく。


「ジェルミ君・・・驚かせて悪いな?でもオレとしてはジェルミ君のように素直なリアクションが嬉しいんだよ」


「う・・ん・・・いいよ。ロンさんに会えたなんてラッキーだったからね」


諭すようなロンに語りかけられて、ジェルミの機嫌は少しばかりだが良くなったようだ。
立ち直りの早いのが、ジェルミの最大の長所であるのだから・・・。


「そういえば、ロンさんだけなの?ジョーさんとリックさんは?」
ジェルミは辺りをキョロキョロと、見渡すとロンに訪ねてくる。


「ああ・・・ジョーは時差ぼけでまだ寝ている。・・・リックはサポートメンバーを連れて明日入国するよ・・」
どうやら、シークレットライブをやるようだ


サポートメンバーという言葉に、その場にいた3人は同じ事を思ったに違いない。
いまだに強いロンのシヌへの思い入れを。


そんな皆の思惑に気づいているのかいないのか、ロンはすっかり甘い時間に浸る二人に
つかつかと近づいてゆく。


そして大胆にも、ミニョを後ろからハグしてしまった。


「キャア・・・何ですか?誰」
「フフッ・・・この腕の感触忘れたの?愛しいHoney」
だが・・・腰に回していた手はものすごい力で引き剥がされる。


ロンも腕っ節には自身があるのだが、“伝説の男”には敵わない。


「おいおい・・そんなマジになるなって・・・ちょっとした挨拶だろう?」
「全く・・・勝手に抱きつくなよな・・・ロン!!」


「ロンさん?えっ本当に」
クルリと振り返ったミニョは、目を真ん丸くしていた。


「うん・・・会いたかったよミニョちゃん♪」
サングラスをゆっくりと外しながら、優しい笑顔を向けてくれるロン。


「私もです・・でもでも・・いつもびっくりさせられて心臓に悪いです」
ミニョは少し拗ねた様子でロンを見る。


「アハハ・・ごめんねーミニョちゃんのその顔を見るのが楽しくてさ」
大口を開けて笑うロン。


「だけど・・・ミニョちゃんワンサイズダウンだね?」


「えっどうして・・・それを」
ミニョは言い当てられて、目を泳がす。


「そうだね・・この前あったときは、これくらいで」
ロンは手を前でクロスさせた。


「そして・・・さっきのはこれくらい」
ほんの少しだが、大きさが小さくなっている


そいてミニョの耳元で、あることを囁くとミニョは顔を真っ赤にしていた。


「ミニョちゃん・・・誰かさんが居るのにそんな表情(かお)すると後が怖いよ」
そう言ってシヌを見ると、無表情でロンを見ている。
絶対零度の静かな怒りだ。


これ以上はさすがにまずいと退散しようとしたのだが・・・


「おーい・・ロン!!大変だー」
息を切らせて走ってきたのは、ジョー。


「どうしたんだ?」
滅多なことじゃ動じないジョーがこんなに焦っている。


「ジョーさん?大丈夫ですか」
その場でしゃがみこむジョーは、頭上から聞える声にはっと顔を上げた。


「ミミミミ・・・ミニョちゃんどうして?」
すっかり混乱しているジョーに、ロンが声を掛ける


「それは、後で教えてやる。何があったんだジョー?」


「ああ・・・たった今リックから電話がきて・・・」

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